■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●格子セットM重版出来  2014.3.28

格子セットMの再生産が出来ました。こちらからお求め頂けます。

そのかわり、今度はフジミ犬山城エッチングのスタンダードとエクスペルテンが売り切れとなり、ご迷惑をおかけしております。
たいして売れるもんじゃないからと思って油断していると、いつのまにか品物がなくなって慌てる羽目になります。
再生産の予定は決まっていませんが、犬山城エッチングは絶版にはなりませんので、その点はご安心ください。
なお犬山城ベーシックは若干の在庫がございます。定価800円で販売中、シクヨロ。
また、その他の在庫僅少アイテムとしては、鶴ヶ城が残り2個、ラムダロケットが5個となっております。こちらもシクヨロ。

●春の18きっぷ
photo_上下駅
昨日の夜中に帰宅しました。詳細は来週にでも。
写真は上下ミラクル荘の最寄駅(ウソ)。


●相原の武具その9 鎧櫃のバリエーション  2014.3.21

相原模型の鎧櫃には3種類がありました。

photo_相原の鎧櫃  photo_相原の鎧櫃
初代の鎧櫃は、鎧シリーズNo.1浅黄綾威鎧兜(1966年発売)に同梱されたのが初出で、No.2の緋威獅子金物鎧兜にも添付されました。
板状のパーツを箱組みする仕様です。サイズは167×127×100mm(脚を除く、以下同)。
このキットの別売版は確認されていません。

photo_相原の鎧櫃
完成写真。このように天井板が外れるようになっております。

photo_相原の鎧櫃
ラ、ラジオを実装すれば便利な鎧になるですか。師匠、ワケわかりません。

photo_相原の鎧櫃
二代目は新金型で、初代とは全くの別物です。鎧櫃のみ単品で発売され、兜プラモに飾り台を追加することが可能になりました。
箱と蓋はそれぞれ一体成型で、脚が別パーツ。箱に1969のモールドがあります。金メッキの装飾パーツも付いています。
サイズは145×106×79mmと、初代よりかなり小さく、鎧と組み合わせる事は考慮されていないようです。
他のキットに同梱されたケースは今のところ確認されておらず、鎧プラモには依然として初代鎧櫃が同梱されていたと思われます。

photo_相原の鎧櫃
三代目。箱のパーツに1970のモールドがあります。
金メッキの装飾パーツは二代目と同じ金型ですが、箱のパーツが一回り大きなものに替わっています(161×116×88mm)。
サイズ的に鎧にも使えるようになり、初代に代わって以下の鎧プラモに同梱されました。
  竹雀虎金物鎧兜、浅葱綾威鎧兜と緋威獅子金物鎧兜の各リニューアル版
兜に同梱されたバージョンもありました。アイテムは以下の三種類。
  竹雀金物兜、長鍬形獅子頭兜と長鍬形不動明王兜の各リニューアル版
単品の別売版は今のところ確認されていません。また、三代目の出現によって二代目の単品が絶版となったのか否かも不明です。

このように、同じアイテムを何度も作り直すのは相原の特徴といえます。
他のメーカーでも零戦やタイガー戦車のような売れ筋を十年単位の間隔で更新することはありますが、相原の場合はいささか極端ですね。


●相原の武具その8 黒田長政に再挑戦でござる、の巻  2014.3.14

以前に 黒田長政の兜を作りましたが、脇立の形状修正がイマイチで、不満が残る結果となりました。
先端が前傾するよう手で曲げたのですが、接着してから曲げたせいか、十分に修正できなかったのです。

photo_黒田長政 兜 プラモデル
いっそのこと曲げるより廻してみようかと思いついたので、実行してみました。

photo_黒田長政 兜 プラモデル
先端から47mmの位置で切り離します。

photo_黒田長政 兜 プラモデル
補強の芯棒を入れて接続し、仮組みしながらプロポーションを見ます。廻す角度は20〜30°程度か。

photo_黒田長政 兜 プラモデル
あとは継ぎ目を整え、前回と同様に塗装します。
文字通り前向きな視線誘導ができました。攻撃精神を体現したかのような実物の造形に多少は近づいたように思います。
太さの違いなど、まだ気になる点もありますが、きりがないので修正はこれで打ち止めとします。

おや、何だか色気が違うような・・・そうだ思い出した、前回はたまたま残っていたタカラレベルのゴールドを使ったんだ。
今回使用したクレオスMr.カラーNo.9のゴールドは、粒子が細かくて良く光るのですが、この兜に使うには色が淡すぎるようです。
ぬふう。ふっ、不覚。皆様がMr.カラーのゴールドで塗装なさる場合は、クリアオレンジと混ぜるなどして調整して下さいね。

Amazon 童友社 1/4 日本の名将兜シリーズ 桃形大水牛脇立の兜 黒田長政 プラモデル K4


●相原の武具その7 失われし伝説の名刀、の巻  2014.3.7

相原の鎧と兜については以前に触れたので、今回は刀のプラモから、主に絶版品に焦点を合わせて特集します。
また、50年史DBに記載があるにも関わらず実物を確認できない武具についても併せて取り上げます。

●相原模型の名刀シリーズ
No.1 武田信玄奉納大刀 250円 66年4月
No.2 銀銅蛭巻太刀拵 源頼光所用 250円 66年4月
No.3 徳川家康所用大刀 250円 66年4月
No.4 金銀造大刀 源義経所用 250円 66年8月
No.5 朱塗鞘金蛭巻大小拵 豊臣秀吉所用 350円 66年11月
No.6 朱塗銀鈿藤花文大小拵 鳥居元忠所用 350円 67年2月
No.7 黒色蝋塗牛鍔大小拵 柳生十兵衛 350円 67年8月
No.8 栗漆鞘絞鍔大小拵 木村長門守所用 350円 69年5月
No.9 茶塗獅子鍔大小拵 荒木又衛門 350円 69年5月
No.10 黒色塗裃差拵 上杉家所用 350円 69年11月
No.11 武蔵鍔大小拵 宮本武蔵 350円 69年5月

50年史DBには、これ以外にも「坂本竜馬所用」というアイテムが68年1月予定として掲載されていますが、実物は未確認です。たぶん企画のみ。
また、No.2の銀銅蛭巻太刀拵は、69年頃にはカタログ等に記載されなくなり、わずか数年で姿を消したようです。
この当時、同様に兜も2点が絶版となっていますが、この頃を境に品質が向上していることに関係がありそうです。

photo_相原 銀銅蛭巻太刀拵
画像は銀銅蛭巻太刀拵の完成写真。
ちなみに、かつて曳舟の原模型店には、このキットを含む多くの完成品が飾ってありました。同店の廃業が惜しまれます。

名刀シリーズのうち、大小拵は初版から現在の童友社版まで中身に大きな変更はないようですが、太刀は飾り台が変更されています。
新しい飾り台の裏には1971のモールドがあります。これに伴い箱のデザイナも変更されますが、例によって商品名と品番は変わっていません。
下の画像は「徳川家康所用大刀」の初期型(初版か否かは不明)と、「武田信玄奉納大刀」の後期型。

photo_相原 徳川家康所用大刀    photo_相原 武田信玄奉納大刀

●緑商会の名刀シリーズ
photo_緑商会 黒漆塗裃差拵
理由は不詳ですが、相原模型は75年前後に製造販売を緑商会に任せ、自身は企画制作に専念するようになりました。
この時期の相原は俗に相原・緑などと呼ばれています。ジュニア名城シリーズ(現JOYJOY)などはこの頃に開発されたアイテムです。
城プラモの箱には相原と緑のロゴが並んでいましたが、名刀シリーズや弓矢のように緑商会のロゴのみ表示された箱もありました。
50年史DBによると、緑商会から名刀シリーズが発売されたのは75年2月となっています。定価は500円。 
アイテムは以下の8点。

武田信玄、徳川家康、源義経、豊臣秀吉、柳生十兵衛、宮本武蔵、上杉謙信、荒木又衛門

すなわち、この時点で以下の2点が絶版となっています
 No.6  朱塗銀鈿藤花文大小拵 鳥居元忠所用
 No.8 栗漆鞘絞鍔大小拵 木村長門守所用

photo_相原 朱塗銀鈿藤花文大小拵  photo_相原 栗漆鞘絞鍔大小拵

他社へ引き継ぐ際に不人気商品を整理したのでしょうが、やはりスーパースター級の武将の名前を付けないと売れないという事でしょうか。
また、そのような事情からか、「上杉家所用 黒色塗裃差拵」の商品名が、緑商会版のカタログ等では「上杉謙信」に変更されています。
このあたりは考証にシビアな方にとっては気になるところでしょうが、絶版になるよりはましという考え方もできると思います。

photo_童友社 名刀シリーズ
緑商会から発売された8点の名刀シリーズは、全て童友社に引き継がれ、一時的な生産休止はあるものの、全アイテムが一度は再販されました。
また、相原の金型を使用し、細部を変更したバリエーションキット「井伊家伝来 金梨子地家紋散糸巻太刀拵」が2007年に定価2000円で発売されています。

●相原模型の1/2国宝シリーズ
photo_相原 金銀鈿荘唐大刀
金銀鈿荘唐大刀は名刀シリーズではありませんが、一応は刀ということで取り上げました。
私も残欠しか持っていないので、他のキットの箱から完成写真を掲載しておきます。
国宝シリーズも緑商会からは発売されず、相原版のみで絶版となったものと思われます。

●おまけ 幻の企画
50年史DBはプレスリリースの集大成ですから、「発売しますよ〜」とメーカーが発表したにも関わらず実現しなかったアイテムも含まれています。
ここでは相原模型の武具の中から、そのような実物未確認のアイテムを解説します。
以前にも書きましたが、「源義経所用 白威」と「源義家所用 赤威」は、大鎧の企画の初期段階における暫定案と思われるもので、発売には至っていません。
実際に発売されたのは「浅黄綾威鎧兜」と「緋威獅子金物鎧兜」でした。
また、以下の2点も、実際には発売された形跡がありません。

 楠正成 紺葦威胸緋糸腹巻 1/1 15,000円 68年11月
 竹千代所用の鎧 1,800円 71年5月 スケールの記載はないが価格帯からして1/4を意図していたと思われる

実物大の甲冑プラモとは驚きですが、68年の相原さんは、他にも1/2国宝シリーズやミニ家具シリーズなど、奇抜な企画を連発しています。
国産プラモの登場から10年、日本のメーカーが技術的、経済的な自信をつけてきた時代だからこそ、このような大胆な挑戦を発想できたのかもしれません。
当時で15,000円という、ニチモ1/200大和をも凌ぐ予価が恐ろしいですが、実現していれば甲冑プラモのフラグシップモデルとして業界に君臨したことでしょう。

●追記
銀銅蛭巻太刀拵を入手しました。 こちらの記事 をご覧下さい。
朱塗銀鈿藤花文大小拵のジャンクを入手しました。 こちらの記事 をご覧下さい。
栗漆鞘絞鍔大小拵を掲載しました。 こちらの記事をご覧下さい。



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