■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●イマイのジャンク 2018.9.28

photo_イマイのジャンク
このたびアオシマさんから定価4,800円で再版されました。

photo_イマイのゴールドジャンク
イマイのゴールド版。西小山のホビーショップ・メイクで完成品をみて、いいなあ、欲しいなあと思ってチャンスを伺っていたところ、幸いにも数年前にオクで比較的安価に譲って頂くことができました。 なおネット情報によるとメイクさんは2016年6月30日に閉店なさったそうです。

photo_イマイのゴールドジャンク
イマイからは小さなジャンクも出ていました。大きい方のスケールダウンではなく独自設計です。こちらもアオシマから定価二千円で再販済みです。
昔の値段に比べると高くなっていますが、こんなパイロの民俗船みたいなプラモが現役で買えるのだから有難いです。
アオシマさんからは 1/350クリスチャン・ラディック の再販も予告されています。10月発売予定で定価1,800円。

●おまけ
photo_オーロラの武装ジャンク
オーロラの武装ジャンク。キット組説より。


●凸モールドと金メッキ 2018.9.21

むむっ、既に「秋の乗り放題パス」の間合いに入っておったか。不覚。

閑話休題。今回は先週の名刀シリーズに関連して、ここらで部分メッキの系譜について語らねばならぬと思いまして。
(凸モールドの上だけに金メッキを施す技法を、本項では部分メッキと呼んでおきます)
部分メッキは次のようなキットに使われていました。

相原模型 名将兜シリーズ 加藤清正 立烏帽子経前立の兜 1967年
相原模型 名将兜シリーズ 武田信玄 諏訪法性の兜 1967年
日東科学 明治100年シリーズ 鉄道馬車 1968年
日東科学 明治100年シリーズ 儀装馬車 1968年
大滝製作所 1/50蒸気機関車シリーズ 1969~1972年

とりあえず思いつく限りをあげてみましたが、ネームプレートだけの使用例はもっと多いかもしれません。

photo_ニットー明治百年シリーズ儀装馬車
儀装馬車のボディ。このように、この技法を使えば蒔絵や金象嵌を思わせる美しい加工が可能だったのです。

●ミドリのカラーパネル
photo_緑商会 カラーパネル
No.1 T型フォード(クラシックカー)
No.2 零戦52型
No.3 D-51型蒸気機関車
No.4 ロールスロイス(クラシックカー)
No.5 C-62型蒸気機関車
No.6 飛燕2型
No.7 サンタマリア(帆船)
No.8 姫路城
No.9 メイフラワー(帆船)
No.10 名古屋城

部分メッキの技法を柱に、遂にひとつの商品として成立させてしまった特異なアイテム。
定価はパネルのみの普及版が450円、スタンドやプラカラー、筆、パレットが付属するデラックスセットが800円。
50年史DBによるとデラックスセットのNo.1~4が73年6月、それ以降ならびに普及版が73年7月となっています。

photo_緑商会 カラーパネル
205×330×25の平たい箱に入っています。20世紀末に柏のヤマモト模型で購入。

photo_緑商会 カラーパネル
無塗装で蒔絵、色をさせば七宝といった雰囲気。

photo_緑商会 カラーパネル
小岩タカラ模型の天井に同シリーズが飾ってあった、というか貼り付けてあったのを思い出します。

なお、大滝からもホビープレートという似たような商品が出ていました。
D51の側面図に部分メッキしたもので、ミドリのカラーパネルのように塗装する前提ではなく、そのままの状態で飾ります。
20年ほど前に確かに買った筈なのですが、在庫一覧に登録漏れがあるようで、どこへ行ったのか分かりません。

●ヨネザワのジェミークラフト
photo_ヨネザワのジェミークラフト

No.1 帆船
No.2 銀の馬車
No.3 教会

クリアパーツに部分メッキしたスナップタイトのキットです。クリスタルなんて書いてあるから古いんだろうと思ったら、案の定1984年発売でした。
箱サイズは170×210×40。模型店で見た覚えがありません。プラモというよりファンシーグッズ寄りの商品のようです。
これは池上線長原駅の近くにあった文具・玩具店の閉店セールで買いました。800円の値札が貼ってあります。


●朱塗銀鈿藤花文大小拵 2018.9.14

photo_朱塗銀鈿藤花文大小拵
相原模型の 名刀シリーズ No.6「朱塗銀鈿藤花文大小拵 鳥居元忠所用」。1967年発売、定価350円。
桃山好みの豪華な拵を素組・無塗装で再現できる凄いヤツです。しかし、なぜか緑商会や童友社には引き継がれず、相原版のみで絶版となりました。
そのため未組美品は高く、容易には買えませんが、今回はジャンク状態の完成品を安く譲って頂きました。

実物の資料としては、日本の美術No.6「刀剣」14ページにカラー写真が載っています。
また、笹間良彦先生の「日本の甲冑武具事典」380ページにもモノクロ写真があり、「宮崎かず江氏所蔵」と書かれています。なお相原模型の箱では「宮崎富次郎氏蔵」となっていました。

photo_朱塗銀鈿藤花文大小拵
鞘は栗形や返角を持たず、全長にわたって銀鈿の藤花文が延びています。これをメッキで再現しているところが、このキットの最大の特徴です。
凸モールドの上だけに部分的なメッキを施す技法は、プラモデルでは67年頃に登場しており、当時は模型以外にも家庭用のプラスチック製品などに使われていたのを覚えています。
ただ、このキットの場合は凸モールドというより凸線の内側をメッキしており、他の類例とは若干異なるものとなっています。

photo_朱塗銀鈿藤花文大小拵
鐔の細部が分かる資料が手元にないので、実物と合っているか判断はできませんが、輪郭は似ているので、まったく根拠がない訳でもないようです。
素朴な模様の透かし鐔で、江戸期の精緻な細工物とは異なり、これも戦国時代らしい雰囲気。
ただし前述の資料「刀剣」には「鐔および柄前は後補」と書かれています。

photo_朱塗銀鈿藤花文大小拵
刀身は彫刻が入ったもので、シリーズNo.5「朱塗鞘金蛭巻大小拵」と共通です。

柄巻は退色し、傷んでいます。適当な組紐が手に入ればレストアしてみたいと思います。
なお、キットが早期に絶版となった理由は伝わっていませんが、やはり信長、秀吉といったスーパースター級武将の差料ではなかったことが考えられます。


●徳川戦国絵巻 2018.9.7

photo_アオシマ 小田原攻め
アオシマの1/35戦国情景セット「小田原攻め」です。
かっこいい箱絵は、信長の野望などゲームのパッケージで有名な長野剛さんのイラスト。
中身は1975年に発売された日本の歴史ミニチュアモデルを三点セットで再版したものでした。バキュームフォームのジオラマベースも付属します。

photo_アオシマ 小田原攻め
「小田原攻め」の組説。初版時の商品名は、上段は「徳川家康」、中段は「豊臣秀吉」、下段は「武将」。

photo_アオシマ 江戸風情
こちらは「江戸風情」。

photo_アオシマ 江戸風情
中身はこんな感じ。

photo_アオシマ 江戸風情
ところで、こちらの武士の人は何をしているのでしょうか。持病の癪でも出たのかな。

photo_アオシマ 江戸風情
実はこの方、あろうことか土下座しているのです。何があった!?

この謎を解くにはキットの出自を探らねばなりません。前述の日本の歴史ミニチュアモデルには、一連の赤穂浪士アイテムがありました。その再販が「江戸風情」の中身なのです。

photo_アオシマ 江戸風情
改めて組説を眺めてみましょう。
上段は「敵情偵察」。町人に身をやつして吉良邸を探る赤穂浪士を再現したフィギュアセット。
中段は「両国橋の出会い」。大高源吾が両国橋で俳句の師匠に出会うエピソードを情景仕立てに。
下の二段が問題の「詫び証文」です。講談で有名なお話を忠実に模型化。馬と茶店も付属。

photo_アオシマ 江戸風情
「それでも侍ですか、軟弱者!」

photo_アオシマ 江戸風情
「こんなDQNに関わって騒ぎを起こして、万が一にも事が露見すれば責任問題ですよ。我慢我慢・・・」

それにしても、これらを「江戸風情」と題して再販するとは、なかなか面白いアイデアではありませんか。
ただし、土下座する武士は日常風景としては使い勝手が悪すぎるので、やはり「おや、どうなさいました」「じ、持病の癪が」といった雰囲気でレイアウトする以外にないのでは。
なお再販には含まれませんが、赤穂浪士のシリーズには他にも「密談」と「討入り」がありました。

●おまけ
photo_アオシマ 日本の歴史  photo_アオシマ 日本の歴史
日本の歴史ミニチュアモデル、探したけど大砲隊しか持ってないや。これは30年くらい前に学芸大学のたくみで買ったものです。
そういえば、同じ頃に模型店巡りで訪れた小岩の平賀模型店で同シリーズがたくさん積んであったのを覚えています。今にして思えば買っときゃよかったなあ。






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