■石屋主人日乗
ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。
ヨロイカブトばかり作っていると飽きるので、今度はエレールの1/72 AMX13を作ってみました。
フェンダーは薄く、ホイルはなるべくセンターが出るよう削りました。
砲塔上部はノッポすぎる気がしたので、底部を削り取って1mmほど低くしました。下部のパーツ20はそのままです。
ライトはコトブキヤのパーツから適当に選択して使いました。
キャタピラは悪名高い代物で、ほとんどモールドがなく、ただのベルトです。
対策としては、昔からAMX13のディテールアップには38(t)系のキャタピラと相場が決まっています。
そこで、エッシーの1/72マルダーIIIHのキャタピラをジャンク箱からサルベージしてきました。
わずかに短いですが、予備キャタピラを切り貼りすれば何とかごまかすことができます。
材質が硬いので折り癖をつけることができます。起動輪の周囲など大きく曲げる部分は、トライツールの彫刻刀で裏面にV字型の溝を彫っておきます。
接着はソニーボンドGPクリヤーなどのゴムのりによる粘着が辛うじて可能です。
現在ではエッシーの1/72は入手難ですが、かわりにユニモデルなどが使えるかもしれません。
●河合商会の箱庭シリーズの一部がマイクロエースから再販
既に尼など一部の通販サイトで予約品として紹介されています。
アイテムは以下の8種類。
No.1 農家
No.2 五重塔
No.3 東屋
No.4 五重塔(ゴールド)
No5 牧場
No.6 茶室
No.7 渡し場
No.8 金閣寺
DX水車小屋、田舎の駅、山の温泉宿も続くのか、風物詩シリーズはどうなるのか。続報が待たれます。
今はただ長年の健闘に感謝を捧げるのみ。
同社の黄金時代を偲んで、今回はミュージックシリーズのトロンボーンを作ってみました。
20年ほど前に
地元の駄菓子屋で買った思い出深いキットです。
ついでにミュージックシリーズの金管楽器5点の揃い踏み。左からトロンボーン、トランペット、スーザホン、テナーサックス、ユーフォニウム。
トロンボーンを除く4アイテムはドラムスの飾り台に置いてみました。スーザホンが1/8、他が1/6で、スケールはちょっと不揃いです。
ほぼ絶版ですが、テナーサックスは近年まで再版があったので、今でもオクなどで入手できると思います。
モデルアート1968年4月号の表4に掲載されたミュージックシリーズの広告によると、
「〜タンゴバンド、ブラスバンド、グランドピアノや渋く上品な邦楽々器まで企画されています」
とのことでしたが、残念ながら同シリーズは上の金管楽器と1/10グランドピアノで打ち止めとなり、タンゴバンドや邦楽々器は幻に終わりました。
おまけのドライフラワー。このシリーズのいくつかのアイテムに付属していました。昭和の匂いがする・・・。
ある夏の日、京成曳舟から歩いて亀戸線の踏切を越えたあたりで模型店をみつけました。興奮したせいかカメラの狙いが下にずれています。
これも確か93年頃の撮影です。当時の下町には個人商店の模型店が多く残っており、頑張れば半日で5〜6軒くらいは廻れたものです。
少なく思えるかもしれませんが、見知らぬ町を迷いながら歩けばこんな程度でした。
プラホビーあらいの所在地は押上3-6。グーグルアースで調べると、現在はマンションの駐車場になっているようです。
こちらは看板に店名が書いてありませんが、何となく向島界隈という記憶があったので、当時の電話帳をたよりにグーグルマップを検索。
向島3-6-3のオオカワ模型店でした。現在は建物が撤去されていますが、隣の文具店が決め手となりました。
なんかアフターザバトルの特集記事みたい(笑)。
足立区関原のふじや。以前にも画像を載せましたが、もっとクリアな写真が出てきました。
この店は電飾看板などは出ておらず、プラモの箱を紐でくくって店頭にぶら下げているのが名物でした。
こちらも足立区の関原付近と思われますが、詳細は不明です。
訪問時には既に廃業なさっていたと記憶しています。
追記・足立区関原1-18付近と判明。現在は駐車場。
そうだ思い出した、この日は町屋の緑商会跡地から興野の相原模型跡地まで歩くという企画を実行したんだった。
オオハシ模型改めビッグフットの入口。ああ懐かしい。
ここに来れば大抵のものは揃うという安心感があったので、2006年に閉店したときはショックでした。
レンタルショーケースの六丁目倉庫にもお世話になりました。
●No.12 源 義経 竹雀金物兜 1973年1月 600円。
鎧シリーズNo.5「竹雀虎金物鎧兜・大袖付」の兜を単品で発売したものです。
名将兜シリーズから話がそれるのですが、この兜について語るなら、鎧の方を避けてとおる訳にはいきません。
もしも、武具には詳しいが、プラモのことはよく知らない人がいたとして、その人に「春日大社のさ、竹に雀虎金物の赤糸威ってあるじゃん、あれのプラモが出てるらしいよ」と言ったら、どんな答えが返ってくるでしょうか。
「ははっ、ワロス」
「拙者をハメる気でござるか」
「あのね、あのヨロイカブトはね、そんな生易しい代物じゃないよ」
みたいな反応だと思います。
ごもっとも。しかし、これはウソでも冗談でもなく、本当の話なのです。
このヨロイカブトの何がそんなに凄いのかというと、細かい彫金で各部を装飾されている点です。
こんなかんじ。
プラモを開発するなら、これをモールドで再現しなくてはなりません。
相原がミッション・インポシブルに挑戦するのは別に珍しい話でもありませんが、こいつはヤベえです、不可能の匂いがプンプンします。
しかし、相原さんは実行してしまいました。ばないのう。
50年史DBによると1970年12月発売予定、定価1500円。ただし組説に書かれたサインは1971年11月。例によって大幅に遅れています。
なお相原版を持っていないので画像は相原・緑版です。たぶんロゴが変わっただけ。
画像は吹返の据金物のメッキを落とした状態ですが、竹林に藤と桐の透し高彫が実物そのままにモールドされており、よくぞ成し遂げたものだと感嘆を禁じ得ません。
どれほどの労力と費用を要したのか、怖いので考えたくもありませんが。
なお、スズメの首が寝違えたみたいになっているのは、本物がこうなっているからで、キットのデッサンが下手な訳ではありません。
この鎧が発売された理由の一つとして、問題が多かった初期の大鎧二点のリニューアル用にもパーツを使用することがあったと思われます。
開発費を分散するには良いアイデアだと思いますが、ともあれ、その話はいつか鎧シリーズを解説するときに廻しましょう。
さて、やっと話を兜に戻すことができます。冒頭でも触れたように、この竹雀虎金物鎧兜の兜だけを単体で発売したのが、竹雀金物兜なのです。
50年史DBによると発売年月は1973年1月、定価600円。
シリーズの他の兜と比べて倍くらい高価なのは、新金型であることに加え、鎧櫃が同梱されているためでしょう。
というより、鎧櫃をつけて殊更に単価を吊り上げているようにも見えます。
これは鎧の開発費を回収する方便であったのかもしれません。
箱も他のアイテムより大きな縦長のタイプとなっています。
なお、画像は10年くらい前に武具プラモ愛好家の方から頂いたものです。
高解像度版はありません。
●No.7→5 源義経 長鍬形獅子頭の兜 1973年3月 600円
●No.8→6 源義家 長鍬形不動明王の兜 1973年2月 600円
竹雀虎金物鎧兜の発売とともに大鎧二点がリニューアルされたという話を先程しました。
ということは、当然ながら兜もアップデートされているワケで、アップデートされた兜は単体で発売されるワケで。
「源義家」は50年史DBと組説に書かれたサインが珍しく一致しています。「源義経」は未所有につき未確認。
兜鉢やしころ、威毛などの基本構造は竹雀金物兜と共通です。
面白いのは星兜鉢で、扇状のパーツを半球のベースに接着してゆく仕組みですが、六方白にも、また四方白にも組めるよう工夫されています。
竹雀金物兜に使うときは六方白に(写真左)、「源義経」や「源義家」の場合は四方白に組みます(写真右)。
「源義経」と「源義家」の銀色の部分はメッキパーツで再現され、デカール表現だった旧版より見栄えがよくなっています。
竹雀金物兜と同様に鎧櫃が同梱となっており、値段も以前の兜より高く設定されています。
画像は「源義家」の箱と中身。箱の下の方に鎧櫃のパーツが見えます。
ついでに童友社の鎧櫃同梱バージョンと比較。
相原は軍艦プラモのような細長い箱で、童友社よりわずかに長いですが、全体的にはコンパクトにまとまっています。
これらも品番は旧版と変わらず、商品名だけで新旧キットを見分ける手立てはありません。
しかも、以前にも書いたように、カタログ上の品番と箱に印刷された品番が異なります。なんだこれ。混乱しなかったのかな。
名将兜シリーズの中では、この二つの星兜は宿命的にパーツを共用する運命にあります。
が、実物は形状が微妙に異なっているので、どちらかに合わせると他方に似ていないという悲劇が生じる事になります。
旧版の方は「源義経」をベースとしたようですが、リニューアル版は逆に「源義家」の方に似ています。
ところで、「源義経」の獅子の造形ですが、旧版の完成品は
こちら。
実物は現存しませんが、
こちらの資料の4ページに側面図が載っています。
リニューアル版の完成品はご覧の通り。
このように、旧版の獅子は後傾姿勢ですが、リニューアル版は直立しており、旧版よりも実物に近い造形となっております。
なお、このとき「楠正成」はリニューアルされていません。
ペアを組む鎧のキットがなかった事と、この頃の相原にとって、鎌倉時代の星兜を流用して南北朝期の筋兜を発売することは、もはや考証的に許されなかったのでしょう。
■作ってみる
キットの欠点ですが、威毛の縄目の部分がすべて省略されているので、しころが間延びして見えます。
この修正、容易ではありません。今回はパスしましたが、他の兜を作るときにも使えるので、何とか自作したいところです。
どうも相原さんはしころに冷たいようですね。普通は前しか見ないから省略したのかな。
吹返の取付部が出張っていて無粋です。目立つところだけでも削っておきます。
またしても金メッキを落としており、もはや言い訳のしようもありません。
これはメッキ供養の特集ページでも作らねば許して貰えないに違いない。
黒い部分はミスターカラーのセミグロスブラックを使いました。
鍍金はミスターカラーのゴールドがベースです。
金色が若すぎるのを抑えるため、実物のカラー写真を参考にウェザリングしています。
スミ入れはタミヤエナメルのレッドブラウンとクリアオレンジを混ぜてウォッシングし、凸部はふき取りました。
鍬形は汚れを筆で書き入れ、上記のウェザリング色をエアブラシで全体に薄く塗りました。
追記 2014.3.31
思い返してみると、このとき使用したゴールドはクレオスのMr.カラーではなく、たまたま残っていたタカラレベル版のレベルカラーでした。
このタカラレベルのゴールドは色が濃く、写真のようなちょうどいい感じの仕上がりとなります。
一方、クレオスMr.カラーのNo.9ゴールドは金地金のような淡い金色で、武具に使うには明るすぎます。
いまさらレベルカラーなど売っている訳もないので、Mr.カラーを使用する場合、クリアオレンジを混ぜるなど各自で工夫して下さい。
威毛はハンブロールのマット60を使おうと思ったのですが劣化していたので、ミスターカラーに切り替え、フラットホワイトを下地として赤を塗りました。
赤に少量の朱色を混ぜましたが、明るすぎて緋色になってしまいました。普通にフラットレッドでよかった。
実物の資料としては、線画は集古十種からの抜粋が「日本の甲冑武具事典」65〜67ページに載っています。
カラー写真は日本の美術No.24「甲冑」の表紙(上の写真)や、「小学館 原色日本の美術21 甲冑と刀剣」、「すぐわかる日本の甲冑・武具」などにあります。
集古十種全巻を閲覧できる方は、甲冑の部の五巻をご覧下さい。私はまだ見たことがありませんが、一冊を丸ごと費やして詳細に解説されているらしいです。
キットの開発は、この集古十種の木版画をベースに図面を起こしたものかと思いましたが、細部が微妙に一致しない点も多く、設計手法は不明です。
なお、竹雀金物兜は童友社では現在のところ生産されていませんが、鎧の方は入手が可能となっています。
本邦プラモ界の至宝として、末永く後世に伝えて頂きたいものです。
以上で相原模型が世に送った名将兜シリーズの全アイテムを紹介しました。
このシリーズは童友社によって新たな歴史が書き加えられていますが、その解説はまた別の機会に。
さて、短期集中連載の第一期はこれで完了です。いずれ気が向いたら鎧シリーズなどもやってみたいです。
フレーム表示へ
石屋模型店TOPへ