■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。


●今は亡き思い出の模型店 大分県ローカル版  2012.11.30

photo_大分 おもちゃ店 竹の井
1970年前後、長浜小学校の低学年だった私の行動半径にあるプラモ屋といえば、長浜神社横の玩具店「竹ノ井」でした。
店頭にはみ出すほど山積みになったプラモの箱、LS日本戦車の鮮やかな迷彩色、袋入りのチープな飛行機プラモは、今から考えると尾高っぽい。
長浜様のお祭りの時に買ったタミヤの初代キューベルワーゲン、日東のコンコルドやLSの二式水戦、レベルカラーの銀色を初めて買ったのも竹ノ井でした。

しかし小学校の高学年になると、私も竹町のエサキ科学や末広町のタケダ模型といった専門店に通い始め、竹ノ井とは次第に疎遠になったのでした。

さて、ここで話は一気に20年ほど飛びます。
1990年代の前半、私は立派なプラモおたくに成長し、おまけにプラモ考古学の道にまで目覚めてしまいました。
そこで帰省を利用して、大分と別府の模型店巡りを実施したのでした。写真はその時に撮影した竹ノ井です。

店内に入ると、狭い床面積の殆どをゲーム機の筐体が占領しており、プラモにあふれていた頃の面影はまったく残っていません。
壁面の棚を眺めると、これも往年の活気は微塵もなく、中途半端に古いキャラ物のキットがぱらぱらと置かれているだけでした。
当時の駄菓子屋でよく見られた光景ですが、自分の思い出の店で起きている現実を目の当たりにすると複雑な思いがありました。

「行こう、ここもじきゲームに沈む」

などとユパ様みたいな台詞を心中でつぶやきながら、最後にふと棚と天井の隙間に視線を走らせると・・・

photo_ニチモ トロンボーン
分厚く埃を被っている箱の正体は、一見しただけでは分かりませんでした。が、うっすら透けてみえる独特なロゴとデザイン。
まさか・・・はやる心を抑えつつ手を伸ばすと、それはまさしくニチモミュージックシリーズのトロンボーンだったのです。

このキット、初版は1967年頃の発売らしいので、私が竹ノ井に通っていた時期と重なっています。
もしかすると、あの頃からずっと待っていてくれたのかもしれませんね。

以上、たいへんローカルなネタではありますが、舞鶴、長浜、錦町あたりから全国に巣立ってゆかれた方々の目に留まり、懐かしんで頂けたなら嬉しく思います。
うーむ、それにしても、あれから既に20年も経ってしまったとは。そういえば当時は別府の大阪屋とか健在だったもんなあ。


●フジミ大浦天主堂のディテール その2  2012.11.23

photo_フジミ 大浦天主堂 ディテールアップ用デカール
お待たせしました。大浦天主堂のディテールアップ素材をpdf形式で公開します。こちらからDLして下さい。
※データは2面付です。10面付などのデータが欲しい方はご相談下さい。

●使い方
お手持ちのインクジェットプリンタでデカール用紙などに出力してご利用下さい。
作例で使用した「ミラクルデカール」のサイトはこちら。クリアの方を使いました。
用紙サイズはA5縦長です。原寸でプリントして下さい。
※窓枠のアールとの合わせがタイトなので、シール用紙、光沢紙など厚手の素材では貼り付けが難しくなります。

photo_フジミ 大浦天主堂 デカール 取説
背面パーツ17、正面パーツ18、尖塔パーツ19については上の図に従って下さい。それ以外はプラキット組説手順@の図に従って下さい。

●免責
デカールの内容、その他のいかなる問題に対しても責任を負いません。あらかじめご了承下さい。

●使用例
photo_フジミ 建物シリーズ No.25 大浦天主堂  完成
ミラクルデカールはインクのにじみを防ぐため周囲2mmほど余白を残すよう推奨しています。
が、この天主堂の場合は貼付面に凹凸があるので、デカールの余白は切り取る、滲んだらあきらめる、と割り切って使いました。
少なくとも今回の作業では滲んで困ったという事はありませんでした。

糊が弱めなのでマークセッターを併用するとよいです。
蒸しタオルはやめた方がよい。デカールがシワシワになってしまいます。
マークソフターも微妙ですね。あまり大胆に使わない方がよさそうです。
建物にスミ入れをするなら、デカールを貼る前に済ませた方がよい。

photo_フジミ 建物シリーズ No.25 大浦天主堂  完成
うーん、仕上がりは確かに精密なんですが、立体感に欠けるのが不満なところ。やはりモールドには敵いませんね。

●資料
photo_大浦天主堂
名所シリーズ当時、屋根が緑で塗装済だったので、屋根は銅板葺きと思い込んでいましたが、実際は尖塔の先端だけが銅板で、他の屋根は日本の瓦で葺かれています。
今回再販の塗装指示もダークグレーとなっていますので、これに従っておけばよいです。

photo_大浦天主堂
窓はステンドグラスですが、建物の内部が暗いので、外から眺めても黒く見えるだけです。

photo_大浦天主堂
地面は石だたみ。壁の下部は正面のみ石組み、側面はくすんだピンクっぽい漆喰のようなもの。

photo_大浦天主堂  photo_大浦天主堂
屋根の断面は建築プラモの弱点となりがちですが、この天主堂の場合、雨樋をつけておけば隠せますし、ディテールアップにもなります。樋は0.4mm真鍮線で作るとよいです。
右奥の屋根はキットでは省略されています。余力のある方は再現してみて下さい。
ありゃ、よく見るとキットは窓がひとつ省略されてるなあ。完成するまで気がつきませんでした。

●読者プレゼント
デカールをたくさん作ったので、ご希望の方にお分けします。
封書にて下記の宛先までお申し込み下さい。ご自分の住所氏名を記入し、80円切手を貼った返信用封筒を同封して下さい。
返信用封筒の同封なき場合は、お申し込み頂いてもお送りできませんのでご注意下さい。
無くなり次第、このページで告知して終了とさせて頂きます。
 終了しますた。


●大浦天主堂のディテール  2012.11.16

photo_大浦天主堂ディテール
本物を見てきたので、フジミのキットをアップデートする素材を作っています。
インクジェットプリンタでデカールを作製する前提で作図しました。
完成したら例によってPDFを公開しますので、お楽しみに。

●おまけ 大野川合戦祭り
photo_大野川合戦祭 鉄砲演武
11月10日に開催されましたので、今年も見物に出かけました。
写真は大友宗麟鉄砲隊の皆様による火縄銃の演武。


●長崎旅行  2012.11.9

非18きっぷシーズンの旅は近場で済ませます。
それでも小倉や熊本に比べると倍くらい遠いので、一泊二日の日程となりました。

photo_大黒市場
旅の目的その1、大黒市場。ここは残念ながら年度内の取り壊しが確定しています。

photo_大浦天主堂  photo_大浦天主堂
目的その2、大浦天主堂。これで名所シリーズのディテールはバッチリです。

目的その3、黄檗宗寺院。
鎖国の時代、幕府はオランダ人を狭い出島に閉じ込めましたが、中国人には市中で暮らすことを許していました。
そのため彼らをクライアントとした中国風の寺院が今でも残されているという訳です。

photo_興福寺
日本最古の黄檗宗寺院として有名な興福寺。こんなのを日本で見れるなんて、さすがは長崎です。

photo_祟福寺
祟福寺の三門。かっけえええ。

●観光ひとくちメモ
私が修学旅行で訪れた40数年前、出島は有名な割に観光地としてはパッとしませんでした。
そもそも埋め立てられて島など跡形もありませんから、観光バスも、ガイドさんが「このあたりでございました〜」と説明するだけで素通りでした。
それが今では建物の復元などが進み、一大観光施設となっています。名物トルコライスを食べられるレストランも併設されています。

市内観光には市電が便利、500円の一日乗車券がお得です。
ただし一日乗車券は車内での販売がありませんので注意。ホテルや土産物店で買うよう案内が出ています。


●オーロラの1/8騎士  2012.11.2

前回の日本武将に続き、今度は西洋の騎士を取り上げてみます。

Rick Polizziの資料本「Classic plastic model kits Identification & value guide」によると、 これらは世界の少年少女シリーズに続いてオーロラが発売した人物像のシリーズで、最初は Crown Plastics lnc. という会社との共同企画、のちに権利を買収してオーロラ単独ブランドで販売したそうです。
基本アイテムは以下の5点。

 SILVER KNIGHT OF AUGSBURG (立像、1956年初版)
 BLUE KNIGHT OF MILAN (立像、1956年初版)
 BLACK KNIGHT OF NURNBERG (立像、1956年初版)
 RED KNIGHT OF VIENNA (立像、1957年初版)
 GOLD KNIGHT OF NICE (乗馬像、1957年初版)

バリエーションとしては1968年、映画キャメロットの公開に合わせ、シルバー、ブルー、およびブラックナイトに、楯とキャメロットと書かれた飾り台を新金型で追加して発売。
また1973年にはイギリスの子会社から「ナイツ イン シャイニング アーマー」と銘打ったメッキ版が登場。

photo_オーロラのブルーナイト
画像は1963年版のブルーナイト。初版より細密な箱絵に変更されています。

photo_オーロラのブルーナイト
半世紀以上も昔の金型ですが素晴らしいモールドです。この当時、日本ではマルサンのノーチラスさえまだ出ていません。

photo_オーロラのブルーナイト
常識的な分割です。日本でも80年代にイマイから西洋ヨロイのプラモ、1/12アーマーナイトシリーズ6点が発売されましたが、構成は似たようなものでした。
イマイのアーマーナイトといえば、こちらもオーロラと同様にメッキ版がありました。ナイトコレクションというシリーズ名で2000年8月に発売されています。
西と東で同じことを考えた人がいたというのが面白いところです。

映画の人気に便乗するのも洋の東西を問わない現象で、また日本では昔からNHK大河ドラマの題材にも各社が注目しています。
1969年、大河ドラマ「天と地と」が放送され、加えて映画館では東宝の「風林火山」が封切となりました。
この年、相原模型は「風林火山 信玄,謙信軍旗セット」と、名将兜シリーズ「風林火山 山本勘助 桃形野牛脇立の兜」、「天と地と 上杉謙信 三宝荒神の兜」を発売しました。

photo_相原模型 風林火山 信玄,謙信軍旗セット   photo_相原模型 名将兜シリーズ 桃形野牛脇立の兜   photo_相原模型 名将兜シリーズ 三宝荒神の兜

海外の例では、2007年にリンドバーグから突如として古銃4点が再販されました。
内容は PYRO の Moorish Miquelet、Dutch Flintlock、French Wheellock、あと一点は買っていませんが中身は多分レベルの Blunderbus。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」の人気をあてこんだようですが、箱には「カリビアン・パイレーツ」と書いてあります。まあ何にせよ、再販で入手が容易になるのは有難いです。

余談その1
上記の資料本を眺めていたら、グンゼの大提督(元は PYRO の Der Baron )が蒲田ポニーの棚に長いこと置いてあったのを思い出しました。

余談その2
あーあ、西部劇が一発大ヒットして、PYRO の CIVIL WAR NAVY "36" とか、Western Saddle Gun とか再販にならねーかなー。



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