■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●甲冑プラモ考古学 相原模型の巻 その1  2013.8.30

台風が接近しており、久々にコロッケを用意しなくてはならないようです。
それは置いといて、今後しばらくの間、不定期で相原模型を中心に甲冑など武具を再現したプラモデルの変遷をたどってみたいと考えています。
別のネタに走ることも多いでしょうが、よろしくお付き合いの程お願い致します。

相原模型が武具のプラモを開発していたのは十年にも満たない間でしたが、品質やアイテム選択は大きな変貌を遂げました。
まず今回は、1/4名将兜シリーズの第一弾「楠正成 三ッ鍬形兜」を取り上げます。50年史DBによると1964年1月発売予定、定価200円。
相原模型による兜プラモの記念すべき第一作であり、同社が城や武具などの歴史プラモへ移行する重要なターニングポイントとなった作品でもあります。
また、この発売時期はオダカやコグレの兜よりも早く、我が国における武具プラモの先駆けでもあったのです。

このとき同時に発売された「No.4 織田信長 大円山筋の兜」は、兜鉢、しころ、吹返のランナー一枚を「楠正成」から流用していました。
「No.3 徳川家康 南蛮鉢鹵朶の兜」もシルエットはよく似ていますが、しころが板しころとなっており、金型は正成の流用ではなく別物です。

では、このキットがどのようなものであったのか、実際に作ってみましょう。
作例はパテ盛りを隠すために兜鉢を黒く塗っていますが、それ以外は無塗装です。

photo_相原模型 楠正成  photo_相原模型 楠正成
星兜鉢は縦に細長くて星が大きく、厳星と呼ばれる平安後期の様式です。もちろん正成や信長とは何の関係もありません。
吹返は大きく、角度が立っており、やはり平安後期の様式です。革所はフェルト紙で再現されます。
しころは小札のモールドが入っているのは良いのですが、星兜としては三段では少なすぎます。
前立は形状、モールドともに素晴らしく、ここだけは南北朝期の流行をよく反映しています。
組み立ては、多少は手こずる点もありますが、大幅なスリ合わせなどは必要なく、説明書に従えばちゃんと組めます。

ほぼ無塗装にも関わらず、完成品は飾り物としてはなかなか立派なものです。
考証について言うと前立しか合ってないというレベルですが、このような考証レベルの商品は節句飾りなら現在でも見かけます。
ユーザの側で厳密な様式など求めていない以上、細かく作り分けて無駄に値段を上げても無意味かもしれません。

このような点から考えると、想定ユーザも見えてくると思います。
歴史マニアによる歴史マニアのためのキットなら、もっと構造や様式に興味が向いている筈です。
やりたくても出来なかった、という訳でもないように思います。外国へ行かないと見学できない戦車などと異なり、日本の武具なら当時でも容易に取材や資料収集ができたからです。
少なくともこの時点の相原模型には、武具のスケールモデルを開発する、という明確な意識は乏しかったように思われます。

新しい素材で商品を開発しようとする場合、既存の何かを代替する形で市場に登場するのが普通です。
軍艦や飛行機のプラモが木製ソリッドモデルを置き換えたように、甲冑プラモは節句飾りを代替するものとして企画されたのではないでしょうか。
そのような評価が実際に当時あったという事実は、こちらの資料からも明らかとなります。
玩具問屋が集まっている浅草という土地柄は節句人形との縁も深く、この点も何らかの関係があったのかもしれません。

それにしても正成、信長というラインナップで発売するなら、せめて筋兜鉢と笠しころをベースに設計して欲しかったと思います。
おかげで、童友社が「伊達正宗」 (2009年10月のホビーショーで発表) を新規に開発してくれるまで、まともな筋兜鉢のパーツはプラモ界に存在しなかったのですから。


●暑いので夏らしいプラモでも その3  2013.8.23

母方の田舎が国東半島の鶴川なので、子供の頃、夏休みには黒津崎や奈多八幡の海水浴場で遊んだことがあります。
当時まだ独身だった叔父、叔母たちが連れて行ってくれた事もあったようです。
そんな折に叔父のひとりが得意げに見せてくれたのが、モーターで動く携帯式の扇風機でした。

photo_扇風機プラモ  photo_扇風機プラモ
これが出来合いを買ってきた物だったのか、それともキットを組み立てたのか、今となっては分かりません。
ただ、50,年史DBによると、童友社の懐中電灯つきのライトファンが1968年、有井のミゼットファンやポケットファンが1969年ですから、時期的には一致しています。
画像は童友社のポケットファンと有井のミゼットファン。

というわけで、今回はポケットファンつながりでニットーのハンドファンシリーズを紹介します。
前回の1/3扇風機シリーズとともに、当時のニットーは扇風機に関しては他社を圧倒する品揃えを誇っていました。
ハンドファンシリーズはポケットファンの高機能タイプといった性格のキットで、以下のように多彩なギミックが特徴でした。

 マジックファン 4色の光が出るマジックライト付
 ウルトラファン サイレン付
 カクテルファン 首が自由自在に動くなど
 ミラクルファン 首が伸縮し180°回転、コインケース、玉が飛び出すなど
 ロケットファン 遠心力で羽根が飛び出す
 ロータリーファン 羽が内蔵されたロータリー式のハンドファン

photo_扇風機プラモ
ロータリーファン。これなんか冷静に考えてみると、温風が出ないドライヤーを金を出して自分で組み立てるわけで、何だかよく分かりませんね。

photo_扇風機プラモ 
photo_扇風機プラモ
カクテルファン。なかなかの多機能ぶりです。しかしムードライトって、こんなんでムード出るのか?

photo_扇風機プラモ
ミラクルファン。弾が出たりアンテナが伸びたりと、秘密兵器っぽい仕様となっております。
このキット、同社の79年版カタログには載っていますが、81年版には記載がありません。カタログ落ちかも。


●暑いので夏らしいプラモでも その2  2013.8.17

パソコンが壊れました。
修復ディスクがエラーを吐いて沈黙する最悪の状況に、一時は買い替えも覚悟しましたが、chkdsk/rでHDDが息を吹き返した隙にクローンを作り、何とか新しいHDDで起動できました。
・・・ああ疲れた。

そんなわけで遅くなりましたが、気を取り直してうPしますた。
わが国の扇風機プラモにはいくつかの流れがありますが、なかでもよく見かける二つのシリーズを紹介します。
ひとつは大滝から有井/マイクロエースに引き継がれたものです。

photo_扇風機プラモ  photo_扇風機プラモ
大滝の1/3松風は1975年発売、定価1,000円。風力二段切替と自動首振のギミックを持っていました。画像はバリエーションの「かわせみ」です。
このキットは有井に引き継がれて白鳥、浜風となりました。有井版もギミックは大滝版と同様です。
大滝からは他にも涼風など小型の扇風機二種類が出ており、これらは有井の潮風、白樺、白浜、水鳥となっています。こちらは風力切替や自動首振のギミックはありません。
それにしても、扇風機の名前って国鉄の優等列車みたいなセンスですね。

photo_扇風機プラモ  photo_扇風機プラモ
もうひとつ、童友社のキットはニットーの1/3扇風機シリーズを引き継いだもので、さらにルーツをたどると、クラシック扇風機などはサンキョーの金型だったようです。
アイテムは東芝そよ風、日立さわ風、1925年製日立クラシック扇風機、サンヨーグランドリビングルームタイプ、三菱コンパックオレオレの5種類がありました。
これらは商品名もそのまま童友社に受け継がれています。

オリジナルは両軸モーターを使って首振り機能を実現しており、その他ゼンマイによるタイマーなど豊富なギミックを有していました。
残念ながら、これらギミックの大部分は童友社版では省略されています。
首振り機能の省略は両軸モーターの調達困難が原因であると、扇風機プラモ愛好家の方から伺ったことがあります。

photo_扇風機プラモ  photo_扇風機プラモ
しかし現在、田宮ミニ四駆PROのおかげで両軸モーターは豊富に流通しています。
チュウキンのギアセットなどをうまく使えば、童友社のキットを改造して首振りギミックを復活させることも可能でしょう。

photo_扇風機プラモ
日立クラシック扇風機などインテリアとしても中々の出来栄えですから、ある程度ギミックを減らしてもよいので、何とか再販して頂けないものかと思います。

photo_扇風機プラモ
50年史DBをみると、扇風機のプラモは驚くほど多くのアイテムが様々なメーカーから発売されています。その中にはあのミヤウチも含まれます。
また、プラモとは毛色の異なる教材的なキットが、かつてISS(イリサワ)からも発売されていました。
モーターやプロペラ、クランクなどの概念を学ぶ手軽な教材という意味があったものと思われます。
しかし、扇風機はまだ理解できるとしても、ルームクーラーとなると企画意図がまったく読めません。
クーラーなんて東京シャープだけじゃなかったのか。ワケわかんねえ。


●18きっぷの旅 報告  2013.8.9

●日程
7/30(火)
 高城-広島 06:25-14:12 日豊線、山陽本線
 広島城を見学
 広島-姫路 17:01-21:53 山陽本線

7/31(水)
 姫路-竹田 06:30-08:14 播但線
 竹田城跡を見学
 竹田-和田山 10:27-10:34 播但線
 和田山-福知山 11:38-12:24 山陰本線
 福知山-野田川 12:55-13:41 タンゴ鉄道
 野田川駅-鉱山口 13:46-14:16 バス
 加悦SL広場を見学
 鉱山口-野田川駅 15:53 -16:23 バス 
 野田川-西舞鶴 17:00 ⇒ 17:52 タンゴ鉄道

8/1(木)
 東舞鶴-福井 07:26-10:47  小浜線、北陸本線
 バスで福井駅から丸岡城へ
 丸岡城を見学
 バスで福井に戻り、福井城、フクイ模型、ふじもと
 福井-九頭竜 16:51-18:21 越美北線
 九頭竜-福井 18:30-20:09

8/2(金)
 福井-京都 06:10-09:17  北陸本線、湖西線
 山陰線で亀岡まで
 太秦まで戻り、嵐電で金閣
 バスで京都駅へ
 京都-大阪-新今宮、阪堺で恵美須町、徒歩で日本橋へ
 プラモを買う
 大阪南港からフェリーさんふらわあ乗船、19:55 出港

8/3(土)
 別府着 07:45 帰宅。

●トピックス
photo_加悦SL広場キハ08
タイムスタンプと時刻表から判断すると近江高島-北小松間。
湖西線から眺める民家は切妻屋根の複雑な稜線が独特な雰囲気を醸し出しています。
ついさっきまで眺めていた北陸の民家とは明らかに様式が異なります。木ノ芽峠を越えただけで、ここまで違うのか。

琵琶湖沿岸は若狭や越の国と都を結ぶ重要なルートだけに、さまざまな歴史的事件の舞台となりました。
孝謙・道鏡コンビと対立した藤原仲麻呂が、吉備真備の電撃的な用兵に敗れ、一家もろとも無念の最期を遂げたのもこのあたりでした。


●18きっぷの旅  2013.8.3

日本海側を遠征して参りました。疲れたので詳細は来週にでも。

photo_加悦SL広場キハ08
加悦SL広場のキハ083。「ユニークな客車改造気動車」というグリーンマックスの解説に興味を覚えてから30年、ついに実物と対面することができました。

●おしらせ
お待たせ致しました、品切れでご迷惑をおかけしていました格子セットLの再生産ができました。
また、犬山城スタンダードとエクスペルテンも久々に造りました。
以上、詳しくは
お店をご覧ください。

にしても、格子セットLが重版出来なんて書くと景気がよさそうに見えますが、本当に売れたなら結構な事で、謝恩セールのひとつもやろうかという感じなんですけどねえ。
…試作で殆ど使い果たしたなんて、恥かしくて人に言えない(笑)。




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