■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●号外

国連難民高等弁務官事務所 ウクライナ難民援助


●がんばれミニアート 2022.7.29

photo_ミニアート1/16フレンチナイト
ウクライナのミニアートによる1/16ヒストリカルフィギュアの一作目、"French Knight XV Century" です。
2003年発売、日本での定価2,500円。バリエーションで German Knight、English Knight が出ました。
以前に紹介した17世紀の戦士と同様に、素体は三種類とも共通で、兜、楯、右腕、武器が別々のランナーでした。

photo_ミニアート1/16フレンチナイト  photo_ミニアート1/16フレンチナイト
簡易金型なので作り易くはないですが、基本に忠実に切った貼った盛った削ったすれば、ちゃんと完成します。
武器はバトルアクスの一種、ごっついポールアクス。ドイツ騎士にはウォーハンマー、イギリス騎士にはロングソードが付属します。
なおロングソードはフランス騎士にも不要部品として入っているので、こちらを組み立てて持たせることもできます。

photo_ミニアート1/16フレンチナイト
兜の飾りに羽根が三本ついていますが、さすがにオーバースケールです。メーカー公式の完成品にも使われていません。

photo_ミニアート1/16フレンチナイト  photo_ミニアート1/16フレンチナイト  photo_ミニアート1/16フレンチナイト
せっかくなので一本だけ付けてみました。

photo_ミニアート1/16フレンチナイト
真鍮線で芯を作りました。接着していないので取り外しできます。

photo_ミニアート1/16フレンチナイト  photo_ミニアート1/16フレンチナイト
楯は両面テープで付けているので取り外せます。兜のバイザーは可動。

共通ランナーにも不要パーツがあります。フレンチナイトを作る場合、36、37、45、49、58、59が不要です。
ちょっと手のかかるキットなので、はじめに要らない部品を取り除いて心理的負荷を軽くするとよい。
部品58、59は三種類のいずれにも使われません。組み立てると槍になります。

そういえば笹塚のえんどうで買ったんだった。懐かしい。
イマイの1/12アーマーナイト は博物館の展示品のように完成します。ミニアートの1/16はもっと生々しく、人間が身に着けて行動中の雰囲気です。
残念ながら、これらの騎士は現在のところ売り切れですが、他にもカッコいいフィギュアがいろいろ出ています。買って応援して下さい。

Amazon ミニアート 1/16 ローマ帝国軍兵士 1世紀
Amazon ミニアート 1/16 ギリシャ戦士 紀元前4世紀
Amazon ミニアート 1/16 第二期ウエストファーレン騎兵連隊1809

●追記
各アイテムの型番は以下の通り。
  16001 French Knight
  16002 German Knight
  16004 English Knight

あれ、じゃあ16003は何なんだ? と思って調べてみると、"16003 Burgundian Knight XV Century"(ブルゴーニュ公国の騎士)というアイテムがありました。
これも基本パーツは他の騎士と同じです。つまり四種類のバリエーションがあったということです。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
女王様は毛長なので夏が苦手。

photo_今週のぬこさま
それでも箱には入る。なに考えてるんだか。


●夏だ、海だ、働く船だ 2022.7.22

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
1/130 Shell Welder Coastal Tanker です。Scalematesによるとフロッグが1961年に発売。
古いキットですが、ノボやイースタン・エキスプレスなど東のメーカーが再販しているので割と入手しやすい。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
ランナー状態で眺めた限りでは、もうコレどうしようか、といった印象なのに、意外と美しく完成するから不思議。全長40㎝の堂々たる姿です。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
正面の窓枠は天井と一体成型。薄く削ってもイマイチ感じがよくない。顔にあたる部分だけに、手を加えるならまずはここか。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
ほぼ全てのパーツをいちいち整形、調整する必要がありましたが、それが当然の時代からやってきた時の行者なので、まあ何とかなりました。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー  photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
修正不能な金型のズレはそこらじゅうにあります。細かいことを言わずにガーッと組むのがコツです。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー  photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
窓のズレが大きいのでハトメでも使おうと思ったけど、かえって悪目立ちするので中止。慎重に穴を削ってどうにかしました。

photo_イースタン・エキスプレスの沿岸タンカー
手すりの部品は、これを付けると一気に安っぽくなりそうな予感がしたので未使用。取付け穴すら埋めていない。

●組説の補足
手順5で72をつける棒は15です。
手順6の配管23と同様に、左側に22が付きます。21は左側にも同じものが付きます。16は両側につきます。

●おまけ
イースタン・エキスプレスの箱に載っている船をついでに紹介します。

photo_イースタン・エキスプレスのソビエト潜水艦
советские подводные лодки
苦労してキリル文字を入力してみれば、意味は「ソビエト潜水艦」だと?、なめとんのか。
なんかドイツ軍をやっつけてるっぽいから、たぶん大戦中のM型潜水艦か何かでしょう。

photo_イースタン・エキスプレスのサウス・グッドウィン燈台船
サウス・グッドウィン燈台船。ドーバー海峡の難所グッドウィン砂州に配置された燈台船のひとつ。
このサイト によると、1954年11月、深夜の嵐で錨の鎖が切れて漂流し座礁。七名が殉職、一名が米軍のシコルスキーS-55ヘリに救助されたという。
なにしろ仕事が燈台だけに、海が荒れたからと言って簡単に任務を放棄することができないらしい。
キットはフロッグから1963年に発売。上記の事故から7年しか経っていません。

photo_イースタン・エキスプレスの戦艦ロイヤル・サブリン
1/500戦艦ロイヤル・サブリン。これも旧フロッグ。Scalematesによると1963年初版。
この船は戦争中ソ連海軍に貸し出されていたので、東側でも人気があるのかも。
戦艦プラモといえばエレールの1/400ポチョムキンもソ連でよく売れたらしく、金型を貸したら、なかなか返して貰えなかったという噂が昔ありました。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
またそんなとこに入ってる。


●夏だ、海だ、カタロニア船だ 2022.7.15

photo_イマイのカタロニア船
世界最古の帆船模型について
昔から各国の船乗りの間では、共に幾歳の風雪を乗り越えてきた愛着ある自分たちの船を縮小して再現し、この作られたミニチュアの船を母国の教会に奉納する習慣があった。 この「カタロニア船」と呼ばれている模型は、バルセローナからさほど遠くないマタロの聖シモン・ド・マタロ教会に奉納されたもので実存する世界唯一の模型である。

以上は組説の冒頭より。バルセロナ生まれだからカタロニア船と名付けられたようです。これは奉納模型の固有名称で、形式としてはコグ船にあたります。

photo_イマイのカタロニア船
この丸くてかわいい帆船は、やがてキャラックに進化して大航海時代の尖兵となり、しだいに大型、重武装の傾向を強め、ガレオンを経て、遂には究極の戦闘帆船、戦列艦につながってゆくのです。

photo_イマイのカタロニア船
定価4,800円は初版時の価格。50年史DBによると、カラー版が73年、ゴールドが75年。

photo_イマイのカタロニア船
箱を開けると、長さ30センチ以上の船体の開きがゴロンと出てきて度肝を抜かれる。完成品は385×150×450mmだそうです。

photo_イマイのカタロニア船
組説は中綴12ページのボリューム。

photo_イマイのカタロニア船
部品図。それほど多くありませんが、ひとつひとつがとにかくでかい。

photo_イマイのカタロニア船
ロープワークが難しそう。

photo_イマイのカタロニア船
横にぶら下がってるのはカゴと水袋ですって。

photo_イマイのカタロニア船
たたんだ帆がプラスチックパーツなのは珍しい。

photo_イマイのカタロニア船
えっ、ミサイル出るの? まあ、これはSFプラモなどと共通の注意書きでしょう。

ところで、この船はオクで作りかけが安かったので、軽い気持ちで買ったのですが、届いた荷物をみてビックリ。そうだ思い出した。こいつメチャクチャ大きかったんだ。

photo_イマイのカタロニア船
で、でかい。我が家のプラモ番長は童友社の神輿が務めていますが、タメを張れるくらいでかい。
「これからは二人で仕切っていこうぜ」などと話し合っているのかもしれない。

●おまけ
あるシリーズの一覧を50年史DBで検索するときの密かな楽しみ、それは実際には発売されなかった幻のキットを探すこと。
今回もありました。御朱印船が73年、予価300円。

photo_イマイのカタロニア船
値段と時期からすると、バイキング船やジャンクなどミニ帆船の仲間として登場する予定だったのかも。むう・・・欲しい。
この路線で、北前船とか古代準構造船とか突き詰めて欲しかったなあ。売れないだろうけどなあ。
あと、以下のように1/350洋上模型は屍累々です。

  ガゼラ・プリメード(フィラデルフィア海洋博物館)
  クルゼンシュテルン(ソ連漁業省)
  グロリア(コロンビア海軍)
  ゲオルグ・スターゲ(デンマーク ゲオルグ財団)
  ペレスポワールⅡ

こうしてみると、クリスチャン・ラディックが発売に漕ぎつけたのは割と幸運だったのかも。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま
猫がストーブ前でくつろいでいたのがつい最近のような気がする。


●夏だ、海だ、ポーランドの潜水艦だ 2022.7.8

まだ七月初旬ですが、梅雨が明けてしまったので、そろそろ夏らしい話でもしましょう。

photo_1/200 ORP Sęp
1/200 ORP Sępです。確か2000年代の後半に秋葉原で買いました。
艦名は何と読むのか分かりませんが、意味はポーランド語でハゲタカですって。
メーカーはACCURA。ざっと検索した限りでは、おそらく同じ金型でORP Orzełを発売しています。それ以外の製品は見当たりません。

photo_1/200 ORP Sęp
中身。これは購入時の姿ではなく、不要なランナーを捨てて整理したらしい。

photo_1/200 ORP Sęp
細かいパーツはこんなもの。あっさりしています。

実物について詳しくはWikiの記事(英語版)をどうぞ。
どうも戦争中はずっとスウェーデンに抑留されてたらしい。
戦後は1959年の映画に潜水艦オルゼウの役で出演したりとか、ウィスキー級の登場まではポーランド海軍で最大の潜水艦だったとか、何かと有名だったみたいです。

映画について調べてみると、The Eagleという題名の戦争映画があったようで、ようつべに動画が上がっています。
さらに調べを進めると、映画になった方の潜水艦Orzełはけっこう活躍していることが分かりました。 英文wikiの記事を要約すると、下のような感じ。

1939年の対独戦では、ダンツィヒ港を砲撃したドイツの戦艦シュレスヴィヒ・ホルシュタインが港から出てくるところを攻撃するよう命令を受けたが、戦況の悪化で果たせず。
その後、ドイツM1級掃海艇との戦闘で傷つき、中立国エストニアに向かう。エストニア当局から抑留されそうになるが、力づくで脱出、イギリスに到着。
1940年のヴェーザー演習(ドイツのノルウェー侵攻)では、侵攻直前の4月8日、ドイツの輸送船リオデジャネイロを撃沈。ノルウェー側が生存者を救助してみると、乗客はみんなドイツ兵だったので侵攻の意図がバレバレ。
同年5月、最後の哨戒に出撃、以後行方不明。触雷または英軍機の誤射によって戦没したとされる。

いろいろと劇的なので、興味のある方は原文を読んでみて下さい。

●おまけ
photo_heller 400 m1 class
1939年に潜水艦Orzełを攻撃したドイツ掃海艇の同型艦がこちらです。

●追記
そういえばミラージュも1/400でSępとOrzełを出してましたね。買っときゃよかったかな。

●今週の重版出来
犬山城スタンダード、格子セットLL、格子セットL、デラックス名古屋城格子セット、1/350松本城を再生産しました。お店をご覧ください

諸物価高騰の折、当店でも今回の生産分からは一律一割ほど上げるべきなのですが、面倒なのでお値段据え置きのまま行きます。
ただし、「1/350デラックス名古屋城格子セット」だけは定価1,000円を1,200円に改定します。
これは元々が戦略価格などと称して利益率をメチャクチャ低く設定していたので、さすがに立ちゆきません。何卒ご了承下さい。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま
長毛種のヘソ天ゴロ寝は夏の風物詩。


●ブルマァクのケンタッキーライフル 2022.7.1

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
先日ブルマァクの解剖模型をやったので、今度は古典名銃シリーズを取りあげます。
2000年頃に春日部のローヤル模型にて五千円で購入。長いことショーウインドウに置かれていたので、残念ながらイラストが退色しています。
アライグマの帽子が、映画アラモにおけるジョン・ウェイン扮するデイビー・クロケットを連想させます。アライさんかわいそうなのだ。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
1970年発売、定価2,500円。
実物大133cmと書いてあります。箱もデカく、612×235×58mmもあります。
前回も書きましたが、このシリーズはPyroの金型でLIFE-LIKEが製造したOEM商品でした。箱絵や解説文は日本版オリジナルです。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
木部は茶色、大楓の木目を出そうと頑張って成形しています。金属部分は銀色でモールドされています。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
あまりに巨大な銃床は6分割されています。壁掛け台は焦げ茶。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
壁掛け台にはPYRO 1968の文字が。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル  photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
金属部分を裏表から眺める。銃身は三分割。その名の通り実物の銃身にはライフリングが刻んであるので高い命中精度を誇る。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
組説もでっかい。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル  photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
撃発機構は動くようです。銃床の物入れと飾り金具が興味深い。

photo_ブルマァクのケンタッキーライフル
左半分が井出隆弥先生による解説。古株のモデラーならホビージャパン誌上でのミニチュアウォーゲムの連載が懐かしいでしょう。
右側にはシリーズの一覧。これ以外にもシレジアンライフル、ベルジアンショットガンがありました。
当時ウインチェスターは一番人気だったようで、店頭で目撃した覚えがありません。
逆にムーリッシュライフルなどは、あまり馴染みがない代物のためか、80年代になってもあちこちで売れ残りを見かけました。

絵師については何も書かれていません。シレジアンライフルの組説には「構成・イラストレーション 関口猪一郎」とあります。

●おまけ
アメリカ独立戦争でケンタッキーライフルに泣かされたイギリス軍は、自分でもライフル銃が欲しくなり、ベーカーライフルを採用しました。

photo_airfix_figure
こちらはベーカーライフルを装備した第95ライフル連隊。エアフィックスの54mmフィギュアです。
戦列歩兵がブラウン・ベスと呼ばれるマスケット銃を使っていた時代、新兵器のライフル銃を手にした彼らは、散兵や狙撃兵のような戦い方を得意とする手練れだったのです。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま  photo_今週のぬこさま
生後三か月のぬこさまの写真集。最高に尊い。











フレーム表示へ  石屋模型店TOPへ