■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●号外 2022.2.26

国連難民高等弁務官事務所 ウクライナ難民援助


●思い出の模型店 その37 2022.2.25

昨年、10周年記念セールを終えて、折角だから何か記念になるものを買おうと思い、安手のレコードプレーヤーを選びました。

photo_QUEEN II
中学の頃に買って実家に置いてあったQUEEN II など、ほとんど半世紀ぶりに聞くことができました。

photo_ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ「Live! 」
これは上京してから買ったボブ・マーリーのライブです。
これを聞くと、あの頃の下北沢が思い出されてなりません。
以下、昔のことを浮かんできたままに書きなぐっています。興味のない方は読みとばして下さい。模型店の話は下の方に出てきます。

※文中の敬称を省略させて頂きました。

1980年代初頭、井の頭線の下北沢駅は下り方面の改札がまだ地上にあり、構内踏切が残っていた。
高幡不動から行くには、まず京王6000系の上り特急に乗って明大前で降りる。駅に到着する直前、小林信夫の小型駅のイラストに出てくるような、二階の張り出しから土管が地面に伸びているアパートが右手に見えた。
明大前駅の階段を下り、金魚が泳ぐ池のあるホームで井の頭線に乗り換えた。パステルカラーの3000系どころか、緑色の初代1000系が現役で走っていた。

その後、下北沢に越してきて二年ほど過ごした。
当時住んでいたのは代沢五丁目あたり、代沢三差路から歩いて数分のところにあったトイレ共同の四畳半の二階。
環七まで行かないとコソビニがなくて、夜中に急な買い物をするときは、北沢川緑道の中島みゆきの家の前を通って片道10分くらいかけて歩いた。

下北沢といえば現在はいつも若者で賑わっているが、当時は日曜でさえノンビリとしたものだった。まして平日などは普通のローカルな駅前といった雰囲気で、南口商店街を人にぶつからずに全力疾走できた。

井の頭線の踏切の近く、鎌倉通り沿いの自然味覚堂「ぐ」へ行くと、いつもボブ・マーリーのライブが流れていたような気がする。確かひじきの入った焼飯か混ぜ御飯だったかを主とした「静かなごはん」というセットが名物で、大豆コーヒーなどもメニューに載っていた。
マザーはロック喫茶、いーはとーぼは音楽喫茶。インド音楽のライブハウス「あしゅん」では喫茶としてチャイやカレーを楽しむこともできた。哲学系の本屋などと共に「なかよし商店会」のような名前のグループを作って共通のちらしを配っていた。木曜館も仲間だったかな。
このような店からは、新宿や渋谷では既に跡形もなかった前世代の文化の名残が感じられた。

鎌倉通りを進むと右手に広島お好み焼き。その先には、とり・みきの漫画でおなじみ田北鑑生の勤めるブックスおりーぶも現役で営業していた。2003年3月閉店。
手前の横道から駅の方へ戻ると、角のあたりに甘味の美園。その先には常にいい匂いを漂わせる日本茶の店。
高架下だったか、三日間煮込んだシチューが自慢の伊万里という店もあった。

本屋といえは北口の駅前にも二階建ての書店。模型誌はサニーで買っていたが、まんがの単行本はここの二階か、あるいは渋谷のまんが書店など。
サニーの近くにも昔ながらの小さな書店。たまにサニーの斉藤さんがサボりに来ていた(笑)。

話を戻して、北口駅前の道をまっすぐ行くとワンダーランドビル。鉄道模型のグリーンマックス直営店は2階にあった。最近まですっかり忘れていたが、旧国のキットに台車とパンタまで買って組み立てたことがある。
近くのややこしい建物の二階に輸入レコード店。レコード店はサニーの近くなどにもあった。怪しい階段を登った先の隠れ家みたいな店でLP盤を物色したものだ。
とり・みきの短編漫画「トマソンの罠」に登場するバーはプラステート75によく似ている。2012年に閉店したらしい。その近くには伝説の中華食堂、餃子100円、ラーメン150円の蜂屋があった。

小田急線の開かずの踏切をようやく渡って南口方面へ行くと、駅の近く、跨線橋のあたりに古ぼけた連れ込み宿(旅館かたばみ、「トマソンの罠」でも言及されている)。
キャバレーや忠実屋などのそばでジャズ喫茶マサコが現役だった。喫茶といえばカフェ・タス・ヴァリエというのもあった。詳しいことは忘れたが当時のお気に入りだったらしく、今でも引出の中にマッチが残っている。
南口商店街には、とり・みきの「愛のさかあがり」に出てくる大衆食堂。近くに立ち食いうどん店や製材所まであった。現在では想像もできない。
アパートを借りた不動産屋、ステレオを買った電気屋、コロッケが安い肉屋なども南口商店街だった。
駅前にはレンタルのレコファンもあって、いろいろなLPレコードを借りてダビングした。

テントに水森亜土のイラストが描いてあったドイツパンのアンゼリカは2017年7月31日をもって閉店。
ここで買った固いライ麦パンを「カメラーデン・ブロート」などと呼んで、ミリオタ仲間で分け合ってむさぼり喰ったのも懐かしい。クリスマス菓子のシュトーレンを初めて買ったのもここ。
みそパンとカレーパンが有名だったらしいが、個人的ベストは洋梨のデニッシュだ。

その向かいにはキッチン南海と古本の幻ゆう社(遊の偏がさんずい)、レモンステーキのふらんす亭。
ドラマ書房のレンタルビデオ店が出来たのもこのあたりで、モンティ・パイソン・アンド・ナウは確かここで借りた。
今は王将が入っている場所は、昔は銭湯だった。ビルの一階に銭湯がある珍しいタイプ。当時の王将はもっと駅より、南口商店街を左に折れた行き止まりの道ぞいにあった。
代沢五叉路のつきまさ、クリーニング屋、酒屋の並びは当時からさほど変わっていない。アンティークトイのオムライスや2丁目3番地はなくなってしまった。もっとも、これはちょっと後の時代の話。
代沢三叉路のあたりだったか、裸電球を灯して夜遅くまで営業している古本屋があった。付近の八百屋は谷村新司が贔屓にしていたらしい。

●やっとサニーの話
そんな町並みを眺めつつ、店員がカウボーイの扮装をしているステーキ屋の前を通って、いよいよサニーへ到着。

タミヤニュースやフジミのブラックボックスに掲載されていた写真は、なぜか私の記憶とは異なる。
モデルアート86年7月号に新装開店の広告があり、ファサードや店内の写真が載っている。これが最も当時の印象に近い。
以下、記憶を辿って80年代前半の店内のレイアウトを記す。ただし、なにしろ昔のことなので正確さは保証の限りではない。

入り口の向かって右にショーウインド、バキュームのマイナードイツ機の完成品が並んだこともあった。
店を入ってすぐ、向かって左側にはLSの拳銃など、ホルスター付きモーゼルの大きな箱は高いところ。
左の壁は手前が戦車、中ほどが船などだったか、そのあたりにニチモのキングシャークがわりと長いこと置いてあった。買っときゃよかったなあ。

photo_グンゼレベル1/72「ナイトジャガー」  photo_ニットーのDC-3
奥の方がモノグラム、タミヤ、フジミなど48メインの飛行機の棚。グンゼレベル1/72「ナイトジャガー」やニットーのDC-3などが置いてあったのを覚えている。

photo_リンドバーグ1/72
奥の突き当りの壁面にはエレールやリンドバーグ、エアフィックなど様々な1/72飛行機が並んでいた。

photo_GHQ1/285ホワイトメタル
中央の島のガラスケースにGHQ1/285ホワイトメタル戦車、後藤仁のタミヤ1/35VI号ラングなど完成品もあった。その奥に追加された小さな棚にエアフィックス1/72の飛行機や月着陸船など。
そういえば後藤仁が店番をしていた時期もあった。この頃の模型店にはサニーの後藤仁、ピンバイスの荒野久雄など、個性的な方々がいた。
島の直上にも棚が吊るされていたが、これは当時からあったものか、後に追加されたものか記憶が定かでない。
右の壁は手前にレジ、奥は自動車だったか。中ほどにはユニオンの1/16バイク、当時まだタミヤの1/12は出始めで、今ほど品数がなかったので、小さなバイクといえばユニオンの印象が強い。

photo_エアモデルのバキューム
レジの上にはエアモデルのバキュームフォームキットがたくさん吊ってあった。
ただし画像の初代ヘルダイバーは既にエレールやマッチボックスがあったので、わざわざバキュームを選ぶ理由がない。おそらくバーゲンなどの放出品だろう。
そのあたりには雑誌や洋書などの棚もあったはずだが、細かいことは記憶があいまい。

当時のサニーではフジミの1/48ミラージュIIIRやWLネルソンは間違いなく買っている。他にもエレール1/72のドイツ機はいくつか買ったと思う。いろいろ購入した筈だが、意外と記憶にない。

80年代の後半から90年代にかけて、大田区に越したせいか、渋谷・下北沢方面から足が遠のいていたようだ。
気がつくと渋谷にマークシティが出来て、井の頭線の渋谷駅も昔とは別物になってしまった。
現在では小田急線が地下に潜り、下北沢駅の周辺は大きく様変わりしたらしい。知り尽くした町だった筈が、もはや迷わずに歩く自信がない。

という訳で、サニーは今でも現役バリバリのお店ですが、当時と比べると町も店も変わっているので、その意味で「思い出の模型店」として取りあげました。

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●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
親子で押入れの探検。


●普段あまり開けないような箱を開ける その3 童友社1/5 江戸神輿 2022.2.18

1980年代の前半、高幡不動に住んでいた頃、程久保あたりを歩いていて、時計屋さんの片隅でプラモを売っているのを見つけました。
お話を伺ってみると、やはり職業がら細かい工作が得意で、好きが高じてプラモデルも店に置くようになったとのこと。
このときはグンゼレベル1/32スピットファイアを買いました。今でも覚えているのが、そこには一抱えもありそうな神輿の完成品を飾ってあったことです。

photo_童友社1/5神輿
50年史DBによると1974年1月発売、定価6,900円。なお2022年現在の定価は21,780円(税込)です。
私が持っているものは箱に定価1,5000円と書いてあります。確か渋谷東急ハンズの模型店で2000年代に買ったものです。
80年代に時計屋さんで目撃したときは、世の中には物好きなプラモがあるものだと思いましたが、20年後に自分で買うことになるとは想像もしていませんでした。

それでは中身をひととおり見てみましょう。

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿
屋根の一辺が15㎝ほどもあります。

photo_童友社1/5神輿
鳳凰の尾は真鍮プレス。飾り紐や鈴など、プラモの部品とは思えません。

photo_童友社1/5神輿
赤いランナーもあります。

photo_童友社1/5神輿
担ぎ棒や台は黒い成形色。

photo_童友社1/5神輿<  photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿<  photo_童友社1/5神輿
金メッキのランナーは同じものが四枚ずつ入っています。神輿の四面がほぼ同じ作りだからです。

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿
組物を一体成型で表現。

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿

photo_童友社1/5神輿
各部の装飾は見事なモールド。

photo_童友社1/5神輿  photo_童友社1/5神輿  photo_童友社1/5神輿  photo_童友社1/5神輿  photo_童友社1/5神輿
組説は中綴じ8ベーシ。わりと簡単そうに見えますが、同じものを四面作ることを考えると作業量はそれなりに多そうです。

なお、おみこしのプラモについては以前にも特集を組んだので、ついでにご覧ください。

Amazon 童友社 1/5 江戸神輿 黒塗紫房 プラモデル PS-1
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Amazon 童友社 1/8 江戸神輿 黒塗り紫紐 プラモデル

●おまけ
マンガ図書館Z で公開されている、あびゅうきょ先生の 多摩モノレール 堰場幻影
私もほぼ同じ頃、ほぼ同じ地域で、ほぼ同じような学生時代を過ごし、そして多摩都市モノレールの開通を機に再訪し、時の流れにシミジミした経験があるので、この作品がザクザク刺さって痛い痛いなのです。

●今週の大鎧
ぎゃあああああ!
https://twitter.com/MXF_official
2月13日の記事をご覧下さい。遂にこんな時代が! 長生きはするものです。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
陽が当たって暖かいので気持ちがいいみたい。


●AFVクラブの1/35ドイツ15cm重歩兵砲 2022.2.11

photo_AFVクラブの1/35ドイツ15cm重歩兵砲
へへへ、買っちゃった。

photo_AFVクラブの1/35ドイツ15cm重歩兵砲
オオッ、クレイジーなスライド金型。やはりAFVクラブの火砲は最高です。

photo_AFVクラブの1/35ドイツ15cm重歩兵砲  photo_AFVクラブの1/35ドイツ15cm重歩兵砲
15cm柄付榴弾42型(15cm Stielgranate 42)のパーツも付いてる。わたしゃこれに興味津々でねえ。
この砲弾の威力については以前の記事でも取り上げましたが、今回は使い方などを調べてみました。以下にWaffen Revue 15からの抄訳を記します。
榴弾6発分の炸薬を一撃で叩き込み、凄まじい衝撃波を発生する恐るべき兵器、実際にはどのような戦果を挙げたのでしょうか。
同書には「残念ながら、この砲弾の使用例は知られていない」とあります。
また同書によると、 15cm重歩兵砲を搭載した各種の自走砲に加えて、33B突撃歩兵砲やブルームベアでも使えたらしいので、いろいろと劇的な場面もあったろうと想像がふくらみます。

Amazon AFVクラブ 1/35 sIG33 15cm重歩兵砲 プラモデル

●今週のコンテスト
童友社が城パチコンテストを開催!
http://www.doyusha-model.com/product/pramodel/1_photo_con.html
童友社さんの賞に加えて協賛雑誌社の賞もあり、アーマーモデリング賞の審査員は城郭模型紀行の島充さんです。

●今週の電子書籍
不覚にも今になって知ったのですが、大野安之先生の不朽の名作「ゆめのかよいじ」の雑誌掲載版が電書で復刻されているではありませんか。

photo_大野安之「ゆめのかよいじ」
雑誌掲載版ということは、中身はこの1988年版と同じということですね。

photo_大野安之「ゆめのかよいじ」
このページだけで御飯三杯いけます。

photo_大野安之「ゆめのかよいじ」
こちらはキャラを今風に描き直し、一部のストーリーも変更した改訂版。2001年発売。

ゆめのかよいじ【雑誌掲載版】 (Jコミックテラス×ナンバーナイン)
ゆめのかよいじ (ニュータイプ100%コミックス)

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
完璧な迷彩。闇夜の夜間戦闘機みたい。


●普段あまり開けないような箱を開ける その2 モノグラム "Three Fighting Men" 2022.2.4

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
ワシントンD.C.のナショナル・モールにあるブロンズ像の1/10スケールモデルです。箱サイズは36×28×8.5㎝。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
1988年発売。AMERICAN COURAGE SERIESとありますが、発売されたのはこれ一種類だけのようです。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
胴体はモナカ。ブロンズっほい成形色。組立はスナップタイト。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
3Dスキャンなど影も形もない時代ですから、原型師が頑張って似せたと思われ。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
細部もなかなか。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men  photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
慣れたモデラーなら箱の写真だけでも組めそうなキットですが、組説は丁寧に描かれています。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
彫刻家フレデリック・エリオット・ハートとVVMFの著作権表示。

なお実物についてはwikiのベトナム戦争戦没者慰霊碑、 より詳しくは英文wikiの The Three Soldiers をご覧下さい。

photo_モノグラム 1/10 Three Fighting Men
ストリートビューの画像。マヤ・リンの記念壁と三人の兵士像との位置関係が分かります。

●今週のぬこさま
photo_今週のぬこさま
押入れの最上段に登って遊ぶことを覚えてしまいました。どうしよう、布団が毛だらけになってしまう。








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