■石屋主人日乗

ここは石屋の主人がプラモに関係あるコトやないコトを好き勝手に書き散らすページです。
以前の「ニュース」を改題。ニュースというと城プラモ界のイベントを残らず網羅するような印象になってしまいますが、そんなマメな事をやる気はサラサラないので。

●エレールのフィギュア 2019.9.28

うがあ童友社の物販コーナーに行きたいのじゃあ。

閑話休題。

エレールのドイツ機関銃チームというか "APPUI-FEU" と箱に書いてあるやつ、ネットで検索しても完成写真がひとつも上がっていない。そうなると逆に組んだところを見たくなるのが人情というもの。
そういえば40年くらい前だったか、笹塚えんどうの二階に "Panzer Grenadiers" の三人組をきちんと塗った完成品が飾ってあって、ちゃんとカッコよかったのを覚えています。
だから、これだって古いキットとはいえ、作れば思ったほど悪くないかもしれない。そう考えて形にしてみたのです。

photo_heller italeri zvezda german machine gun crew
ズボンと半長靴の雰囲気はなかなか良い。
えっ、まさかステッチラインをモールドしてあるのか!? ジャロウフィギュア以前にこんな例があったとは。
他にもYストラップのDリングを再現していたり、独自のこだわりが見られます。

photo_heller italeri zvezda german machine gun crew
上半身まで組むと何か微妙。脚と胴体の良さに腕と頭が追いついていない印象があります。
特に、おかしな形の鉄兜や逆三角形のエレール顔が雰囲気を損なっています。こういうのは他社に置き換える手もあります。

photo_heller italeri zvezda german machine gun crew  photo_heller italeri zvezda german machine gun crew

photo_heller italeri zvezda german machine gun crew  photo_heller italeri zvezda german machine gun crew

photo_heller italeri zvezda german machine gun crew  photo_heller italeri zvezda german machine gun crew
今回は見本的な意味で装備品もキットのままですが、できればガスマスクケースは替えた方がよさそうです。
あと、機関銃手の装備が一般歩兵と同じなので、こだわる方は工具箱や護身用の拳銃を他から調達して下さい。
機関銃の二脚だけはパーツをなくしたのでドラゴンに換えました。

全体的な雰囲気は意外と隅に置けないのではないでしょうか。
なお、このキットはイタレリやズベズダからから"German Machine Gun Crew"として再販されています。
ちなみにグーグル先生によると"APPUI-FEU"とはフランス語で火力支援の意味だそうです。

●おまけ エレールのフィギュア一覧
Scalematesの情報によると、1977年から1978年にかけて、下記のフィギュアセットが一気に発売されたらしい。
言われてみると、エレールのフィギュアは私が高校生の頃、大分パルコのポストホビーに忽然と出現し、それ以前には模型誌でも見なかった気がします。
つまり、それほど古い訳ではなく、むしろタミヤのドイツ機関銃チーム(1974)より新しいくらいです。

111 Chasseurs de chars  (73mm LRAC対戦車ロケットチーム)
112 Mission d' assaut  (戦後フランス兵突撃セット)
113 Panzer grenadiers (ドイツ装甲擲弾兵)
114 Appui-feu (ドイツ機関銃チーム)
115 Groupe mortier 81 (自由フランス軍迫撃砲チーム)
116 Groupe Tabor (グミエとロバ)
117 Groupe Parachutistes (ドイツ降下猟兵)
118 Waffen SS (ドイツ戦闘親衛隊)
119 Groupe combat 2 ème DB (米軍装備の自由フランス軍)
130 Groupe combat 2 ème DB (II) (米軍装備の自由フランス軍)
134 Groupe brancardiers (衛生兵と担架)
135 Hommes grenouilles (フロッグメンとボート)
136 Chasseurs Alpins (アルペン猟兵)
137 Tirailleurs Sénégalais (セネガル狙撃兵)
138 Groupe Radio (無線チーム)
141 Canon Anti-Chars de 25mm  (25mm対戦車砲チーム)
143 Groupe mitrailleuse Hotchkiss (オチキス機関銃チーム)
144 Compagnie Saharienne (サハラ部隊とラクダ)
177 Moto Gnome-Rhone (オートバイ)
420 Moto Gnome-Rhone et Sidecar (サイドカー)

私も全部を作った訳ではありませんが、アルペン猟兵などフランスものは割と出来がよかったように思います。
また、オチキス機関銃チームや25mm対戦車砲などは現在でもプラモでは唯一で貴重です。

これらのキットは、いつごろ日本に入荷したのでしょうか。手持ちの資料のなかではモデルアート77年12月号48ページに載ったえんどうの広告が最も古いようです。

●余談
昔のえんどうと言えば、二階にあがる階段の途中にあったショーケースに、実物大の88mm砲弾の模型が置いてあったんだが、あれは何だったんだろう。


●城郭模型紀行と島さんの新刊 2019.9.22

●城郭模型紀行 第五回
photo_アーマーモデリング10月号 城郭模型紀行
アーマーモデリング10月号に掲載。今回はフジミ1/300犬山城です。
木曽川を見おろす佇まいを巧みな空間構成で再現なさっています。
嬉しいことに当店のエッチングパーツも使って頂いております。

●熊本城超絶再現記 巨大ジオラマでよみがえる本丸の全貌
10月中旬発売! 冬からずっと取り組んでおられた、あの超大作が本になる!
予約はAmazon または島さんのオンラインショップにて受付中。
私もさっそく尼でポチりました。


●連結履帯の思い出 その2 カステン以降 2019.9.20

●モデルカステンの登場
photo_カステンのパンター
全てはここから始まったと言っても過言ではないでしょう。第一弾のパンター後期型履帯は定価2,800円。現在は絶版。
Model Graphix1985年7月号でスクラッチのパンター、ニコイチのヤクトパンターに使われており、25ページには「バーリンデンも絶賛」と紹介記事があります。驚いたことに、もう34年も前の話です。
こんなものがバンバン売れるとは発売元も考えていなかったようで、再生産は未定なので買い逃しのないようにと当時の広告にあります。それはそうでしょう。タミヤのパンサーA型が当時定価1,000円。戦車本体の三倍近い値段だったのですから。

photo_カステンのパンター  photo_モデルカステンの連結履帯  photo_モデルカステンの連結履帯
当時の履帯というのはタミヤにしてこんな感じなので、カステンに差し換える効果は絶大だったのです。ニチモのはもうちょっと良かったが、まあ似たようなもの。
なにしろタミヤのパンサーは初版が1969年。モーターライズ全盛期なので、履帯の設計には強度的な制約もあったのでしょう。

photo_カステンのパンター
こんな姿で売られていました。ポリ袋に台紙とパーツが入った簡単な梱包でした。

photo_カステンのパンター
和文が記載され、型番がないなど、後期のバージョンとはデザインが異なります。これが確か初版だったと思います。
このように初期の製品には型番が入っていませんでしたが、種類が増えてくると型番が採用され、パンターにはK-1のナンバーが振られました。
成形色は現在の茶色に落ち着くまで、明るい灰色など何種類かの変遷があったように記憶しています。

photo_カステンのタイガーI型
続いていくつかの有名戦車の履帯が発売されましたが、当時としては常識外れなアイテムゆえ、売り方には苦労した形跡が伺えます。
タイガーI型の履帯などは前期型と後期型が100枚ずつ入っており、作るには二袋を買うか、一袋で済ませるなら要らない方を見えない部分に使うなどの工夫が必要でした。

photo_カステンの40cm中期型履帯
これらKシリーズの履帯は、可動式のSKシリーズ(後述)の進展にともない廃番となったアイテムも多いのですが、この40cm中期型履帯は需要があるのか、現在もカタログに載っています。
なお、画像の台紙は型番が入っていない初版です。
そういえばIV号戦車の履帯セットには、一袋に3種類が入っており、たくさん買えば単品よりお得という製品もありました。さすがにこのようなややこしい商品は初期の段階で姿を消しています。

photo_グンゼハイテック パンターG
グンゼハイテックモデル初の戦車だったパンターが87年。このキットにもカステンの履帯が同梱されていました。

●モデルカステンのSKシリーズ
photo_カステンのSKティーガーI後期型
連結可動履帯SKシリーズの第一弾は1/35ティーガーI後期型用。1991年発売、定価4,000円。
あまりに繊細なので、わずか300セット生産したところで金型が壊れたという苦労話が、Model Graphix 1992年2月号112ページに載っています。

photo_カステンのSKティーガーI後期型
私も当時さっそく購入し、とても正気の沙汰とは思えない構成に驚きましたが、これがアッというまにハイエンドのデファクトとなり、またビックリ。

●他社も続々と参入
photo_マキシムのヘッツァー  photo_フェアリー企画のT-26
1987年頃にはカステンKシリーズと同様の形態でマキシムのヘッツァー、フェアリー企画のT-26などもありました。

photo_タミヤのティーガーI後期型
タミヤのリニューアル版タイガーI後期型が89年。前史時代のわずかな例外を除いて、最初から連結履帯を同梱した記念すべき1/35キットでもありました。

photo_ドラゴンの1/35T-72M2  photo_ドラゴンの1/35T-72M2
90年に発売されたドラゴン初の1/35戦車プラモ、T-72M2。これら同社の戦車もまた連結履帯が標準装備でした。

photo_ドラゴンの1/35 38(t)履帯
ドラゴンといえば、クォーターマスターシリーズと称して履帯を単品で別売していた時代がありました。
なかでも38(t)履帯・転輪セットが印象に残っています。これはインペリアルシリーズのグリレH(旧版)の足廻りを別売したもので、発売は94年、定価1,000円。これも25年前なのか。

photo_ドラゴンの1/35 38(t)履帯
発売当時は本当に感激しました。なにしろ、これさえあればイタレリをベースに、まがりなりにも正確な38(t)やマルダーIIIHを作ることができたのです。

photo_グンゼのケーリアン
タミヤの1/35パンター、ティーガーII用履帯もコストパフォーマンスに優れた佳作です。画像はグンゼに取り付けたところ。
ティーガーII(ヘンシェル砲塔)の本体は93年7月発売、履帯も同じ。パンターGは93年12月、履帯は94年1月。
キットには組立が簡単なベルト履帯を同梱し、予備履帯のみ連結式。その予備履帯のランナーを使って別売の連結履帯を発売するという、タミヤらしいユーザフレンドリーな方式でした。

photo_グムカのAMX-30
まさか出るとは思わなかったので、グムカのAMX-30も嬉しいアイテムでした。
3個は欲しいがそうそう売れるものでもあるまいと油断して一個しか買わなかったら、速攻で売り切れてしまい口惜しい思いをしました。

photo_ホビーボスのAMX-30
AMX-30の履帯は、その後エレールやホビーボスからも登場しました。

photo_TAKOM AMX-13 TRACKS  photo_Heller AMX-13DCA
元キットの履帯がひどかった分、タコムのAMX13用履帯は効果的でした。これはわりと新しい商品で、発売は2016年。

他にもグンゼのソミュアS35、フリウルのメタル、ミラージュの6トン戦車、ケンカ売ってんのかと思うような東欧キットなど、履帯にまつわる思い出は尽きません。

●おまけ
photo_モデルカステン申し込み券
草創期のモデルカステンは、Model Graphixのガレージキットブランドという位置づけで、本誌に掲載された作例を型取り複製し、フルキットやディテールアップパーツとして提供するというコンセプトでした。
第一弾は創刊号に載った故・今井邦孝氏の1/32ザラマンダー、定価9,000円。申し込み券を同封して現金書留か郵便為替で送金するシステムでした。
当時としては画期的な試みでしたが、この複製方式は極初期に廃止されました。


●連結履帯の思い出 その1 前史 2019.9.13

●大スケール
かつて連結式の履帯といえば、タミヤ1/25などデラックスな大型プラモだけのものでした。

●門垣洋一郎氏のパンターA
ホビージャパン76年1月号のパンター特集に掲載。タミヤをベースとした作例にて、ニチモの予備履帯パーツを連結して足廻りをディテールアップなさっています。

●滝弘賀氏のIV号架橋戦車
ホビージャパン76年11月号に載ったタミヤ改造作品。履帯は予備履帯パーツを大量に購入し、ピンバイスで穴をあけて繋いでいました。

●上田暁・川口敬太郎氏のIV号38cm履帯
当時のAFVモデラーの度肝を抜いた伝説的な作品。製作は川口敬太郎、解説が上田暁となっています。
まずモデルアート78年2月号、フル可動メーベルワーゲンの記事の末尾に「トラックをすべてグラスファイバーで作り直す等という無茶苦茶をやっておるので」と予告編が登場。
それから一年以上が経過し、いよいよモデルアート79年6月号に作品が掲載されました。

当時タミヤとイタレリから初期型のIV号戦車が出ていましたが、履帯はG型やH型の流用だったので、1/35の38cm履帯など地球上に存在しませんでした。
彼らはこれを自作したのです。すなわち、原型をスクラッチし、それを油粘土で型取り、片面注型で複製。それも一体注型ではなく、本体とセンターガイドを別々に注型、両端の細い部分はプラ板、ピンは伸ばしランナーの輪切り。これを200個も作ったというのですから信じられません。
おまけに樹脂といっても、数分で硬化する現在のウレタンレジンとは異なり、使用したのはFRP用のポリ樹脂で、脱型に2~3時間、完全硬化には3日かかったそうです。

●タミヤ1/35グライフ、デマーグ
photo_タミヤ1/35グライフ、デマーグ  photo_タミヤ1/35グライフ、デマーグ
田宮模型全仕事1によると、ミリタリーミニチュアNo.113のグライフが1979年9月、同No.115のデマーグが1980年3月発売。
タミヤが1/35で連結履帯を導入した初の事例です。組み易さを重視する同社ですが、250は履帯の枚数が少ないので、実験的に採用されたものでしょうか。
複雑な湿式履帯をワンピースで再現したため多少の無理はありましたが、自然なたるみ具合は連結履帯ならではのものでした。

●タウロ1/35 A7V
photo_タウロ1/35 A7V
モデルアート80年12月号にレビューが載っているので、発売はこのあたりでしょう。

photo_タウロ1/35 A7V  photo_タウロ1/35 A7V
その履帯は、個別に成形されたパーツをピンでつなぐ形式で、当時としてはまさにオーパーツでした。
ただし、ピンが微妙に太く、連結すると履帯が割れてしまうのが難点でした。材質もポリエチレンっぽいもので、塗装には工夫を要しました。

●ウレタンレジンの普及
80年代に普及したウレタンレジンは硬化が早く、複製作業が格段にスピードアップしました。私もこの当時、スクラッチした湿式履帯を型取り複製した作品を見たことがあります。

次回はカステン以降を概観します。

※追記
門垣洋一郎氏の作品について9月27日に追記しました。


●トラス架線柱セット 2019.9.6

photo_トラス架線柱セット
先日予告した アイテム、こんな感じにまとまりました。架線柱1本に若干のオプションパーツが付属します。
サイズは高欄セットなどと同じく63×27mmで、予価730円です。お楽しみに。

●おまけ グリーンマックスのクモユニ81
photo_グリーンマックスのクモユニ81
予約しておいた再販物が届きました。
単品とエコノミーアソートの2つを既に持っていますが、大好きな車輛なので、あと一つくらいあってもいいかと思って。
しかし、味気ない共通タグになってしまったのは時代とはいえちょっと残念です。

photo_グリーンマックスのクモユニ81
未練がましく昔のカラフルなタグに差し換えてみる。

photo_グリーンマックスのクモユニ81
photo_グリーンマックスのクモユニ81
組んでみました。GM板キットは側面と妻板をL字に組むのが基本ですが、クモユニ81の場合、先に屋根と妻板を接着し、あとから側面を合わせていくのがよいと思います。








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