T 序
D.(Luft)5000/1「空戦砲術入門」は、戦闘機パイロットに必要な空戦砲術の技法を図版を添えて記述したものである。
実戦で認められた最も必要性の高い技法のみを掲載した。
D.(Luft)5000/1のコピーは、戦闘機部隊の全パイロットに配布する。
ドイツ空軍砲術学校の訓練責任者が改版を監修するものとする。
U 砲術
A.概論
貴官の行動が空戦の帰趨を制するのは事実である。しかし、本能だけで正確な射撃ができると思ったら大間違いだ。
愛機はすなわち武器である。その能力を熟知すること。
操縦や戦術だけが勝利の決め手ではない。 砲術の原理法則を習得することも同様に重要なのだ。
戦闘中に考え込んでいる時間はない。
即座に行動できること!
それには訓練、訓練、訓練あるのみ!
貴官は最高の火器と弾薬を手にしている。あとは射撃し、撃破するだけである
砲術についての議論を「机上の空論」で片づけるような、いわゆる「実戦的な連中」は無視すべし。
果てしない計算や方程式から定石を見出せというのではない。 戦訓に基づく単純な実例が役立つのだ。
いうまでもないことだが、すべての者が初歩から始めてまったく同じ過ちを繰り返すのは、無駄以外の何物でもない。
それゆえ、存命か否かに関わらず、達人の経験を学びとること。
可能なかぎり任務につき、練習すること。 熟練のみが成功につながる。
未熟な者も一度やそこらは好運に恵まれることもあるだろう。 しかし長丁場においては、熟練こそが活力となるのである。
B. 火器と弾薬
射撃には、銃と弾薬についての知識が必要である。
銃のすべてのネジの機能、部品の正確な型番まで覚えろとは言わない。
しかし、その基本的な組み立て、正しい操作、運用限界は知っておかなければならない。
加えて、弾薬の機能と操作、火器の命数なども知らねばならない。
正しい操作を覚えること。絶好の位置につきながら安全装置の解除を忘れて射撃できなかったという実例は驚くほど多い。
銃にどうやって装填するのか知らねばならない。装填が完了すると、その銃を示す表示盤に表示がなされる。
残弾計が正しくセットされているか確認すること。さもないと、激戦の最中に、あと何発撃てるか解らなくなってしまう。
正しい給弾方法を覚えること。整備兵が給弾ベルトを装着するのを手伝いたまえ。もし別の基地に緊急着陸して、熟練した整備兵がいなければ、自分で弾薬補給をしなければならない。
敵と遭遇する前に安全装置を解除し、表示盤と残弾計をチェックすること。
定められた射程内でのみ発砲すること。通常、400m以上では目標に届くまでに弾道が下にそれてしまうので発砲すべきでない。これは、Mk.108などの大口径の火器についても同様である。
大口径火器のほうが長射程に違いない、ならば小口径火器ほど正確に狙わなくてもいいだろう、などと思うのはありがちな間違いである。
実際は正反対!
ゆえに弾薬は節約して使い、有効打を与えるチャンスが巡ってきたときにのみ射撃すること。
間合いが近いほど与える打撃も大きいだろう。
実際のところ、3p機関砲で有効打を与える可能性は、小口径火器を用いた場合よりも少しも大きくないのだ。
だから、同じように正確に狙って撃つこと。
実際には、小口径より弾数が少ないので、より正確な射撃を行う必要がある。
1000発装填した小口径火器で50発の無駄弾を撃っても、さほど大した問題ではない。
だが、60発しか装填していないMk.108で同じことをやったら、それは許されない失敗と言えよう。だから、
間合いを詰めよ!
よく狙え!
正確に撃て!
最短距離を的確な操縦で接近すれば、敵の銃手は射撃を忘れるほどに驚き、神経が参ってしまう。そして貴官は勝者となるのだ。
覚えておくこと。
射撃開始の距離は最大400m。唯一の例外は爆撃機への前方攻撃で、この場合は800mで射撃を開始すること。
ひとたび正確に標的をとらえたら、短い点射のみを行うこと。そうしないと弾薬が続かない。
火器の正しい点検整備に慣熟せよ。武器係が火器の調整や装填を行うのを手伝いたまえ。そうすれば戦闘中に自分の火器が正常に動作すると確信できる。
C. 照準器
戦闘機には反射式照準器が装備されている。
精密なレンズ機構によって、偏差リングと十字線が、傾斜したガラス板に常に標的と重なって見えるように投影される。
この照準器にはさまざまな利点がある。
標的と照準像とに同時に焦点を合わせて眺めることができる。もはや一定の照準位置に縛り付けられる必要はない。照準像が見えているかぎり、照準を外す心配をせずに頭を前後左右に動かすことができる。
両目を開けて照準することができる。これにより広い視野が得られるし、それ以上に重要なのは、遠近感を保てることである。
照準像の明るさは自由に調節できる。眩しい日差しの下では、薄暮よりも照準像を明るくできる。
照準像が明瞭に視認できるよう明度を調節せよ。
照準像が明るすぎると目標をおおい隠してしまい、照準には役立たない。
離陸前に照準器の電球が点灯するか確かめること。空中で気づいても手後れだ。
照準器の調整は武器係の仕事である。
武器係を手伝い、同時に調整法を学ぶこと。
調整が狂っていたら、武器係を責める前に、まず自分の責任でないかを確認すること。
荒っぽい着陸をしなかったか?
あるいは、乗降の際、照準器に掴まらなかったか?
または、照準器を揺すったり、固定状態のチェックのとき、調整ネジをゆるめなかったか?
ほとんど例外なく、このような取り扱いをしたあとは、調整はもはや正確ではなくなっているだろう。
だから、照準器には触るな!
D. 戦闘距離
敵を守備よく撃墜するためには、火器の威力を最大限に発揮できるよう、敵に十分接近しなければならない。
接近すればするほど、大きな打撃が期待できる。半分の距離に近付けば、4倍の打撃を与えることが望めるのだ。
うまく接近できれば、勝ったも同然!
実例が示すところによると、戦闘距離は相当に小さく目測されるものだ。戦闘報告のなかの距離は、大体において正確だった試しがない。
たとえば、戦闘距離100〜50m と報告されたとき、戦闘記録フィルムを分析してみると実際の距離は200〜400mにも及ぶ。目測距離の誤差は、しばしばもっと大きな値になる。
4発爆撃機編隊への攻撃においては、多くのパイロットが2500〜3000m で射撃を開始している。
これは無意味な弾の無駄使いである。
こんな距離では、普通の航空機銃では何を撃っても当たりはしない。
このような無駄弾を使っていては、いざ十分な距離に近付いた決定的瞬間には、もう弾が無いという事になる。
だから、覚えておきたまえ。
戦闘距離は正しく目測すること。
これは思ったほど難しくはない。
戦闘距離は、身近にある2つのもので簡単に見積もることができる。すなわち、
1.照準器の偏差リング
2.敵機の翼幅
照準器を透してみると、偏差リングは常に標的に重なって見える。 偏差リングの直径は、標的までの距離の1/10を表す。これによって距離の測定ができる仕組みである。
100mの距離では、直径は10m
200mの距離では、直径は20m
400mの距離では、直径は40m
1000mの距離では、直径は100m etc
Fig 1 戦闘機、距離100m
戦闘機の翼幅は10m である。という事は、戦闘機の翼幅が円にピッタリ収まって見えれば、標的までの距離は100mである。
双発爆撃機の翼幅は20mである。これが円にピッタリ収まって見えれば、そのとき距離は200mである。
Fig 2 双発爆撃機、距離200m
四発爆撃機の翼幅は約30mである。もし、これが円の直径と同じに見えれば、距離は300mである。
Fig 3 四発爆撃機、距離300m
距離の目測には、以下の種類の翼幅を用いよ。
戦闘機 10m
双発爆撃機 20m
四発爆撃機 30m
たとえば、翼幅31.6m のボーイングB-17が円の直径と同じに見えれば、実際には316mの距離にいることになる。
しかし、射撃を行う上では300mでも316mでも大した問題ではない。
100mの距離では、戦闘機の翼幅は円の直径と同じになる。
距離が大きくなると、翼幅は小さくなって見えてくる。
もし円の直径の半分の大きさに見えれば、つまり、円が翼幅の二倍に見えれば、距離は200mに倍増したというわけである。
もし4倍ならば、その時の距離は400mである。
もし6倍ならば、その時の距離は600mである。 ETC.
Fig 4 戦闘機、距離400m
双発爆撃機が円にぴったり入れば、距離は200mである。
2倍なら、距離は400mである。
4倍なら、距離は800mである。
Fig.5 双発爆撃機、距離400m
100mの距離では、爆撃機は円の2倍に見える。
四発爆撃機も同様である。
円と同じ大きさなら、距離は300m
2倍なら、距離は600m
4倍なら、距離は1200m
Fig.6 四発爆撃機、距離1200m
これらの関係は簡単に習得できるだろう。 標的が円の何分の一かを勘定するだけでよいのだ。
戦闘機(翼幅10m )なら、100m毎の見積もりが得られるわけである。
というわけで、 戦闘機一機(翼幅10m )
円と同じ大きさなら、距離は100m
1/2なら、距離は200m
1/4なら、距離は400m
双発爆撃機の場合、翼幅20m に相当する値は2を掛けたものとなる。
つまり、 双発爆撃機(翼幅20m )
円と同じ大きさなら、距離は1×2=200m
1/2なら、 距離は2×2=400m
1/4なら、 距離は2×4=800m
四発爆撃機の場合、翼幅30m に相当する値は3を掛けたものとなる。
つまり、 四発爆撃機(翼幅30m )
円と同じ大きさなら、距離は1×3=300m
1/2なら、 距離は2×3=600m
1/3なら、 距離は3×3=900m
これらを一通り覚え、あらゆる機会を捉えて距離目測の練習をせよ。 そうすれば、もう戦闘中に大きなミスを犯すことはないだろう。
付属の写真では、前述の全てのポイントは明白に思えるだろう。 しかし、戦闘中には、遠近感やその他の要因により、距離は実際よりはるかに小さく思えるだろう。
標的が円の何分の一かを見積もるとき、完全に機械的なやり方を自分に強制せよ。
そして、標的の翼幅に基づいて1か2か3をかけよ。
この方法でのみ、正確な戦闘距離の目測が可能なのだ。
覚えておくこと:
接近しすぎて撃つ者はいない。たいてい誰もが遠くから撃つ。
これが意味することは:
弾の無駄使い!
命中率は小さい!
敵に警報を発し、奇襲のチャンスは台無し、敵に有効な防御策をとらせる!
総じて:勝利は望めず!
決定的瞬間のために弾薬を節約せよ! 400m以上の遠方から射撃してはならない。
例外は四発爆撃機への前方攻撃で、このときは800mで射撃してよろしい。
E 偏差
標的めがけて射撃すると、弾が届くまでに一定の時間がかかる。
もし標的が動いていれば、標的は弾の飛翔中に一定の距離を移動するだろう。
標的に命中させるためには、狙いをその距離の分だけ前方の、標的の飛行経路上に定める必要がある。
Fig.7 偏差
標的の動きが速いほど偏差も大きくなるだろう。下は走行中の車を狙う方法である。
Fig.8 動いている車への偏差
飛行機については次の通り
Fig.9 飛行機への偏差
偏差の基準には、偏差リングの半径(R)を用いる。
もしも敵に正面か背後からまっすぐに攻撃を加えるのなら、偏差は必要ない。
狙いは標的に直接定める。
Fig.10 偏差なし
自分の飛行経路が敵と違えば違うほど偏差は大きく取らねばならない。
Fig.11 中程度の偏差
もし真横から攻撃するのなら、偏差は最大値となるだろう。
Fig.12 最大値の偏差
昨今の飛行機の速度に対する最大の偏差は、一般的には4Rである。
Fig.13 4Rの偏差
偏差の見積もりは敵機の位置に基づいて決めねばならない。
以下の参考写真をみれば、さまざまな位置での偏差を理解できるだろう。
Fig.14 2Rの偏差
Fig.15 3/4Rの偏差
Fig.16 1Rの偏差
Fig.17 3/4Rの偏差
Fig.18 1Rの偏差
Fig.19 1/4Rの偏差
Fig.20 1/2Rの偏差
特定の位置における適正な偏差を学ぶだけでは不十分である。
目前に敵を捉えたあらゆる状況において賢く偏差を当てはめよ。 ・・・・素早く、正確に目測し、狙いを定めよ。
それには練習を重ねるしかない。
出来るかぎり何回も練習すること。
偏差目測の練習はいくらやっても足りないくらいだ。
偏差を計算するだけでは十分ではない。 偏差が正しい方向に取れていることを確かめること。
敵の飛行経路はつねに偏差リングの中心を通らねばならない。
これは間違い:
Fig.21 飛行経路を通らない偏差
こちらが正しい方法:
Fig.22 飛行経路を通った偏差
飛行経路の判断が難しいこともある。
水平飛行中の戦闘機は下降している(機首下げ)ように見える。 このため、下方を狙いすぎる傾向が生じるだろう。
爆撃機が水平飛行しているとき、とりわけ爆弾を搭載しているときには、爆撃機は上昇中(機首上げ)に見える。
この場合は、上を狙いすぎるようになるだろう。
注意深く敵の飛行経路を注目せよ! 偏差が正しくとも、敵の上や下を撃ったのでは価値がない。
通常、見積もられた偏差は小さすぎるものだ。
確信が持てない場合、操縦棹を緩めるだけですぐに偏差を減らすことができるのだから、小さな値よりは大きな値を選ぶこと。
しかし、とりわけ急旋回中は、もし偏差を増し弾道を敵の前方へ指向しようとすれば、旋回をもっときつくする必要がある。
大抵それは無理である。 その速度とバンク角では失速すること必至だからである。
おまけに、すぐにブラックアウトし、しばらく何も見えなくなり、結局は射撃できないだろう。
戦闘の半分は正確な偏差で決まる!
V. 空中戦
貴官の任地が西部戦線だろうと東部戦線だろうと、もしくは南だろうと北だろうと、そんなことは関係ない。
なぜなら、それが砲術の用法に影響を及ぼすわけではないからだ。 砲術の概念は世界共通なのだ。
砲術の概念を習得し、訓練を続けて上達せよ。 それは、少なくとも飛行や戦術の訓練と同じくらい重要なのである。
砲術の概念を習得すれば、自信と優越感を持って戦闘に参加できるだろう。
貴官ほど思うがままに射撃を練習できる敵はいないのだ。 だから、それを最大限に利用せよ。
作戦中はつねに警戒を続けよ!
敵を先に発見すれば、すでに勝ったも同然である。
ぼんやりしていてはいけない!
注意深い視線で、背後も含めた周囲の空域を滑らかに捜索すること。 そうすれば遠く離れた敵をも見逃すことはないだろう。
夢うつつで見張りをするな!
戦友と共に飛べ。 彼らから離れてはならない。
単機になると間違いなく撃墜されるぞ!
敵を視界に捉えたら、即座に確認すること:
銃の電源は入っているか?
装填されているか?
表示盤に表示されているか?
照準器の電源は入っているか?
照準器の映像は明るすぎないか?
冷静に待ちたまえ。 通常、まだ射撃までには十分な時間があるのだ。
A. 追尾攻撃
真後ろから攻撃する場合、とりわけ正確に射撃を始める距離を見積もらねばならない。
敵は十分接近しているように見えるだろう。 しかし、それは錯覚である。
敵を偏差リングのなかに置いてみれば実際の距離が解るだろう。
双発爆撃機がちょうど水平照準線の隙間にピッタリおさまれば、それは直径の1/5である。
つまり、距離は5×2=1000m である。
Fig.23 双発爆撃機、距離1000m
ここで射撃すると命中は望めず、敵に警告を与えるだけだ。 だからもっと距離を詰めよ!
Fig.24 双発爆撃機、距離600m
いま、敵機はリングの1/3の大きさだ。 依然として3×2=600mも離れている。
さあ、400mだ。敵機の中央を狙え!
Fig.25 双発爆撃機、距離400m
狙いを定める時は敵機に集中する。 照準器の周囲に注意を分散してはならない。
短い点射! 照準がずれたら即座に射撃を中止せよ! 敵機の後流には入るな。
機がゆさぶられ、正確な射撃どころではなくなる。
いま、貴官は200mの位置にいる。
Fig.26 双発爆撃機、距離200m
Fig.27 双発爆撃機、距離100m
命中個所や損傷を明瞭に目視でき、燃料タンクやエンジンなど個々の部分に狙いを集中できる。
いまや完全に正確な射撃ができるのだ。
時間、高度、勝利の記録をとどめておきたまえ。 そして隊列に戻りたまえ。
背後からの単純な攻撃は非常にまれにしか起らない。 通常、撃墜に至るまでにはもっと粘り強さと技量を必要とする。
B.斜め追従攻撃
味方の攻撃で敵の爆撃機編隊が蹴散らされた。 左わずか下方に単機の四発重爆がいる。
攻撃! すべて問題無し! 行動開始!
貴官は側面から接近しつつあり、偏差を取り始めている。
まず、偏差リングが敵機の4倍になるまで敵に向かえ。
次に、敵に対して偏差を取るよう機を操縦したまえ。 その位置は次のように見えるはずだ。
Fig28.四発爆撃機 距離1000m、偏差4R
まだ遠すぎる。 このような距離ではまだ射つべきではない。 距離を詰めよ!
距離が減るにつれ、貴官は敵の後方へ回り込み、バンク角は減るはずだ。
その間、偏差をはじめの4Rから滑らかに減らし、敵機の真後ろでは0になるようにせよ。
冷静に待て。方向舵を使いすぎてはならない! 方向舵の修正は大抵いつも乱暴になり、ホウキで掃除するが如く敵を照準像で掃くことになるだろう。
砲弾の散布界はもともと十分に大きいのだから、このうえ弾着を散らす必要はないのだ。
今、貴官は敵機から400mのところにいる。 偏差は依然大きい。 2Rだ!
Fig29 後方追従、距離400m、偏差2R
さあ、短く点射、曳光弾に気を取られてはならない。 曳光弾は、ぐるぐる廻りながらホースで水を撒いた時と同じように、右旋回中は左へ流れるからだ。
標的の移動方向に注目せよ。 貴官の追従が正確でなければ偏差も無意味だ。
標的が少しずつ偏差リングの中心にくるようにせよ。 この位置では偏差は依然2Rのはずだ。
すでに標的は巨大にみえるだろう。 しかし、それは錯覚である。 標的は偏差リングの直径にピッタリあてはまる。
つまり、距離は300m。
Fig30 斜め追従、300m、1 1/2R
Fig31 斜め追従、250m、3/4R
Fig32 斜め追従、200m、1/2R
Fig33 斜め追従、150m、1/4R
Fig34 斜め追従、100m、0R
連続射撃。
敵機が落ちるまで。
敵は必ず落ちる!
C.格闘戦
敵戦闘機との空中戦。 貴官は突如としてその渦中にある。
目を見開け! 冷静に!
弱気になったら負けだ!
前方に一機いる。距離200m。
Fig35 戦闘機、200m
短い点射。
敵は即座に旋回に入る。 射撃やめ!
貴官は敵のうしろを撃っているだろう!
偏差を見定めよ、乱暴な射撃をするな!
決定的瞬間のために砲弾を節約せよ。
敵と共に旋回し偏差を決定せよ。
機を失速するほどきつい旋回に入れてはならない。
Fig36 誤り!偏差がとれていない。
Fig37 戦闘機、150m、1R
そう、それでよし! 撃て! 敵は旋回をきつくする。
敵の機動に追従せよ!
敵の飛行経路に沿った正しい偏差を取り続けよ。
Fig38 戦闘機、100m、1/2R
よし、もう一撃。 旋回角を増しても効果はない。 それが偏差の増大に与える影響は小さく、気にするほどのことではない。
敵はきつい旋回をしている。 敵の内側に偏差を保つよう回り込むことができない。
とにかく敵とともに旋回せよ。じきにまた射撃位置につけるように。
さあ、もう一度射撃位置についた。
Fig39 戦闘機、100m、1/4R
命中。
敵は右旋回から左旋回へ転じようとしている。 旋回を切り返したので敵は真正面にいる。まっすぐ狙え!
Fig40 戦闘機、100m、0R
見よ、敵は火を吹いて落ちてゆく!
D. 前方攻撃
敵の大規模な重爆編隊が接近してきた。 密集編隊を組んで前方攻撃をかけよ。
貴官は、敵の正確な飛行経路を見極めることができるよう、敵爆撃機の編隊に接近しなければならない。
次に、攻撃する敵編隊が水平尾翼ごしに見えるまで、つまり、敵の4000〜5000m前方に出るまで、同じ方向に飛び続けよ。
敵編隊を追い越してから5〜7分で、正しい距離につくことができるだろう。
スロットルをわずかに戻して急旋回で廻りこめ。
さあ、精密な接近飛行の始まりである。 自機の位置を入念に確認し、正確に真正面から接近すること。
このような距離では、方向の微妙な狂いは見分けにくい。
最初その誤差は微々たるものだが、戦闘距離においてはすぐに大きくなり、偏差も突然に増大する。
短時間ではとても対処できない。
Fig.41 前からみた四発爆撃機、距離1500m
標的はこのように照準器のなかに現れる。
標的に真正面から接近せよ! 偏差なし!
狙いすました瞬間の一撃が敵を落とす。 しばしば三機以上の四発重爆が正面からの一撃で屠られる。
戦闘距離に注意!
まだ遠すぎる。敵が偏差リングの1/5に見える。 つまり、5×3=1500mの距離だ。 貴官が秒速 150m、敵機が秒速 100m なので、彼我はあっという間に接近する。
つまり、相対距離は毎秒250m減少している。
相対距離800mから300mの間に射撃できる。 つまり時間は2秒間ある。
この2秒間に全てが起こるのだ。 いま900mだ。
用意!
Fig.42 四発爆撃機、距離900m
機体表面のわずかに上を狙って撃て!
Fig.43 四発爆撃機、距離800m
連続射撃…その間、狙いを滑らかに機体中央に移動するようにせよ。
Fig.44 四発爆撃機、距離600m
標的は急速に接近し、刻々と巨大に見えてくる。 射撃を続けよ!
Fig.45 四発爆撃機、距離300m
警戒、急旋回で離脱、急激な方向の変化と偏差に敵銃手は対処できないだろう。
一緒に攻撃を行った部隊と共に敵編隊の飛行方向へ戻り、次の攻撃のためにその前方へ進め。
何度も何度も攻撃せよ、敵が墜ちるまで!
我々の街を、母親たちを、妻達を、子供達を思え。
彼らの生命は、貴官の情け容赦ない攻撃にかかっているのだ。
貴官の決意と能力が決定的な要素なのだ。
考えることはひとつ、敵を撃滅せよ!
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