SE006A NゲージGM看板建築 窓枠セットC 組立説明書

■作事心得  作る前にお読み下さい

photo_GM店看板建築 窓枠セット

●使用上の注意

エッチングパーツを切り離すときは、デザインナイフの新しい刃を使い、平らな硬い台の上で作業するか、エッチングばさみなど専用の工具をお使い下さい。

●組立のポイント

・瞬間接着剤を用いる方が多いですが、点付けでなく接着面を確保できる場合、ゴム系のような時間をかせげる接着剤も意外と便利です。
 伸ばしランナーの先でごく少量をすくって接着面に伸ばせばイイ感じに接着できます。
 また、ゴム系で仮止めし、瞬着で固定するという方法もあります。状況に応じて使い分けて下さい。
・ゴム系接着剤は緑キャップ(流し込みタイプ)のタミヤセメントに溶けます。ゴム系接着剤を筆で薄く塗ることができ、糸も引かないので便利です。
 愛用するなら接着剤の空き瓶に作っておけば、いつでも使えます。
 これはエッチングをプラスチックパーツに仮止めする際、特に効果を発揮します。プラスチックに塗布すれば溶剤は速やかに吸収され、高濃度のゴム系接着剤が残ります。
 エッチングの位置決めができたら、あとは瞬着を流すだけです。

●ゲートの処理

エッチングパーツを切り離した跡が平らでないと、取り付けの際にゆがむ原因となります。裏から見て突起が残っている場合、細目ヤスリや400番のペーパーなどでそっと削り取って下さい。


■窓ガラスについて

エッチングパーツの裏に透明プラ板を貼り付けて下さい。
建具の一部を重ねて段差のついた状態で組みますので、厚いプラ板を使用するとオーバースケールで実感を欠く仕上がりとなります。
エコーモデルから発売されているHOの窓枠用窓ガラス板(0.07mm厚)をご利用頂きますと薄く仕上げることができます。

エコーモデル 240 窓枠用窓ガラス板(147×42mm) 5枚入 ¥200



■各部の窓の取り付け

●ファサードA・二階
photo_GM店看板建築 窓枠セット
こちらの建物を作ります。

photo_GM店看板建築 窓枠セット

●ファサードA・一階
photo_GM店看板建築 窓枠セット
図のように一部が重なります。色の明るい方が外側になります(以下同)。

photo_GM店看板建築 窓枠セット
上の小窓にはエッチングパーツの建具は用意されていませんが、細かく分割したい方はエッチングパーツ2を透明プラ板に貼り付けて下さい。

●ファサードB・二階
photo_GM店看板建築 窓枠セット
こちらの建物を作ります。

photo_GM店看板建築 窓枠セット
合わせがタイトなので、プラスチックパーツ開口部の上下に出ている段差を削って下さい。

●ファサードB・一階
photo_GM店看板建築 窓枠セット
ここは開口部よりエッチングの方が微妙に幅が狭いので、一部の戸を開いておくか、図のように戸を全閉とする場合、戸を並べるときわずかに隙間を開けて下さい。

上の小窓にはエッチングパーツの建具は用意されていませんが、細かく分割したい方はファサードAと同様にエッチングパーツ2を透明プラ板に貼り付けて下さい。

●側面(平側)二階
平側の建具は一棟分しか付属しません。看板建築のような町屋は一般的に密集して建てられるので、角地や路地がある場合を除いて、平側はほとんど見えないからです。

photo_GM店看板建築 窓枠セット
左側にエッチングパーツ10a、右側に10bを取り付けます。10aと10bは微妙に幅が違いますので、混ぜないよう注意して下さい。

●側面(平側)一階
photo_GM店看板建築 窓枠セット
平側に建具を入れる建物には、こちらのプラスチックパーツを使用して下さい。

photo_GM店看板建築 窓枠セット
格子7は欠けている方を中央に向けます。
格子戸9の合わせがタイトなので、プラスチックパーツ開口部の上下に出ている段差を削って下さい。
建具に格子を多用しているので、妻側を商売に、平側を生活スペースに使用している雰囲気になります。

もう片方のプラスチックパーツは商家と共通ですから、どうしても建具を入れたい方は「SE004A GM商家(入母屋・切妻共通)窓枠セットB」を流用して下さい。
こちらの場合は妻側、平側とも店舗風の外観となりますので、角地の建物に向いています。

●補足
photo_GM商家 窓枠セットA
玄関など引戸が二枚の場合、ほぼ例外なく右側を手前にします。

photo_GM商家 窓枠セットA
引戸が多数の場合、いくつかの重ね方が見られます。説明図は@で描いてありますが、お好みでAのように組むこともできます。

photo_GM商家 窓枠セットA
折り返さず雁行する例もありますが、この場合は建具の長さが微妙に異なるので、一部を開いた状態にしてごまかします。
また、トータルの戸の厚みが増えますので、敷居の幅を拡げる改造が必要になる場合もあります。

photo_GM商家 窓枠セットA
多数の引戸を整然と折り返す例もありますが、この場合は建具の長さが微妙に異なるので、一部を開いた状態にしてごまかします。
また、トータルの戸の厚みが増えますので、敷居の幅を拡げる改造が必要になる場合もあります。

●おまけパーツ
photo_GM店看板建築 窓枠セット
エッチングパーツ3、4は玄関燈です。図のように組み立て、玄関や店先の柱に0.5mmの穴を開けて取り付けます。電球は直径1.5mmの丸い玉を自作して下さい。
エッチングパーツ13は梯子です。ご自由にお使い下さい。

●看板建築
私は偉そうに建築好きを自称している割には、看板建築をまじめに撮影した覚えがありません。
当時はフィルムや現像代がバカにならなかったので、プラモ優先でリソースを割り振りした結果と思われます。今となってみれば勿体ないことをしました。
自前の写真がないので、GMキットの元ネタを調べたり、エッチングを設計するにあたっては、藤森照信先生の「都市のジャーナリズム 看板建築」や、東京建築探偵団の「近代建築ガイドブック」などを参考にしました。

頂部が段々になっている方は、「看板建築」p.70の中華生駒軒によく似ています。
菱形の窓枠は同書p.79、千代田須田町郵便局の隣の建物に近似例が見られます。

もう片方の、ファサードをテラコッタで飾っている方の建物は、該当する資料が見つかりませんでした。
どこかで見たようで、どうしても思い出せないということは、当時の下町でどこにでもあった典型的な看板建築を模型化しているとも言えます。

残念なことに、昭和後期にこれらの写真が撮影された時点では、少なからぬ建物の窓が無粋なアルミサッシに換装されていました。
本エッチングセットは竣工時を想定して、いかにも看板建築にふさわしいモダンでキッチュなデザインを選びました。

photo_GM店看板建築 小林信夫さんのイラスト箱
最後になりましたがGMキットの箱を紹介します。小林信夫さんのイラストが魅力の初版箱です。
正確な発売時期は記憶にありませんが、同社の85年版カタログに商家の予告が載っており、86年11月のGMマニュアルVol.1には既に看板建築の作例の姿が見えますので、おおむねこの間ではないかと思われます。