EA003A 童友社1/350デラックス名古屋城格子セット  組立説明書

■作る前にお読み下さい

●使用上の注意

エッチングパーツを切り離すときは、デザインナイフの新しい刃を使い、平らな硬い台の上で作業して下さい。

●組立のポイント

・瞬間接着剤を用いる方が多いですが、点付けでなく接着面を確保できる場合、ゴム系のような時間をかせげる接着剤も意外と便利です。
 伸ばしランナーの先でごく少量をすくって接着面に伸ばせばイイ感じに接着できます。
 また、ゴム系で仮止めし、瞬着で固定するという方法もあります。状況に応じて使い分けて下さい。
・ゴム系接着剤は緑キャップ(流し込みタイプ)のタミヤセメントに溶けます。ゴム系接着剤を筆で薄く塗ることができ、糸も引かないので便利です。
 愛用するなら接着剤の空き瓶に作っておけば、いつでも使えます。
 これはエッチングをプラスチックパーツに仮止めする際、特に効果を発揮します。プラスチックに塗布すれば溶剤は速やかに吸収され、高濃度のゴム系接着剤が残ります。
 エッチングの位置決めができたら、あとは瞬着を流すだけです。

●セット内容の確認

photo_童友社1/350デラックス名古屋城格子セット 組説  photo_童友社1/350デラックス名古屋城格子セット 組説
CE008B 格子セットLが2枚セットされています。


■組立説明

●大天守の格子・標準

名古屋城格子セット 組立説明  名古屋城格子セット 組立説明  名古屋城格子セット 組立説明
基本的に格子を3本ずつに切って、窓の裏から取り付けて下さい。
表側(商品名のモールドがある側)の方がモールドがきれいなので、表を外側に向けた方が美しく仕上がります。
※作例は塗装していませんが、実際に組み立てる際は塗装した格子を取り付けて下さい。

マスキングの手間を省くには、プラスチックパーツとエッチングを別々に塗装してから取り付けができるよう手順を工夫して下さい。
各階ごとにプラスチックパーツの壁と屋根を組み立て、漆喰色を塗装したあとでエッチングを取り付けるのが現実的だと思います。
幸い名古屋城は図体が大きく構造も単純なので、建物を組んだあとで格子を取り付けるのは簡単です。

名古屋城格子セット 組立説明
戦災焼失前の名古屋城の格子は銅板張りの黒塗りと言われています。色指定はスケールエフェクトも考慮すると、新造時は黒またはダークグレー、経年時はダークグリーンと思われます。

●大天守の格子・例外

以下の部分は例外的に本数が異なります。

名古屋城格子セット 組立説明
三階(プラスチックパーツ13、14)の両端の窓、計8ヶ所は格子が2本です。こだわる方は窓の幅を狭く修正して、格子を2本取り付けて下さい。

名古屋城格子セット 組立説明
二階(プラスチックパーツ19、22)の千鳥破風下の武者返し(計4ヶ所)にある3つの窓は格子が4本です。
プラキットでも窓の幅が多少は広くなっていますが、格子が4本入らない場合、穴を広げて下さい。
同じ二階でも、プラスチックパーツ20、21の武者返しの窓は他と同じく格子3本ですので、間違えないように注意して下さい。

●小天守の格子

大天守と同様に、格子を3本ずつに切って、窓の裏から取り付けて下さい。
古写真では一、二階とも閉じている場合が多いので、プラ板で塞いでもよいでしょう。

●多聞櫓の格子

正直に言うと資料不足で詳細は不明ですが、大天守と同様に、格子を3本ずつに切って、窓の裏から取り付けて下さい。


■その他

●大天守五階の修正

ご存じのようにプラキットの五階(プラスチックパーツ4、5)は現在の外観復元天守を再現しています。オリジナルを再現するなら窓の修正が必要です。

名古屋城格子セット 組立説明
プラスチックパーツ4は隅から3、5、7本めの柱の両隣り半分をふさぎます。
窓の大きさが等しくなるよう、両端の壁も幅を調整して下さい。

名古屋城格子セット 組立説明
プラスチックパーツ5は隅から3、5本めの柱の両隣り半分をふさぎます。
窓の大きさが等しくなるよう、両端の壁も幅を調整して下さい。

●資料

図面は姫路市立城郭研究室のサイトで公開されています。
古写真は各自で探して下さい。歴史群像名城シリーズや日本の美術シリーズなど、あちこちにあると思います。

●余談 多聞櫓クロニクル

私の知る限り、現在までに発売された名古屋城のプラモデルのうち、以下の3点は多聞櫓を再現しています。
フジミ1/300、相原・緑ジュニア、童友社1/350デラックス
興味深いのは、そのどれもが同じように多聞櫓のレイアウトを改変しているという点です。

これはいったい誰が最初に考えたのか、そして、なぜ踏襲されたのか。
まず考えた人ですが、勝手気ままな変更が相原っぽいと思いきや、意外なことにルーツはフジミ1/300なのです。
あのストイックなフジミ建築モデルシリーズにしては大胆なことですが、これもたぶん石垣の面積にかかわる問題だと思います。

フジミ1/300名古屋城の石垣パーツは、大スケールだけに307mm×253mm×70mmという大きさです。
そのプロポーションを見ると、面積を圧縮するために苦労した跡が伺えます。

名古屋城格子セット 組立説明  名古屋城格子セット 組立説明  名古屋城格子セット 組立説明
左から実物、キット、修正案です。
このキットに限った話ではありませんが、底部の面積を圧縮しているので、傾斜が実際より急になっています。

おそらく多聞櫓も、内側に折り曲げることで石垣の幅を節約すると同時に、一応は曲がっているという実物らしい雰囲気を表現したのではないでしょうか。
不明御門横の多聞櫓を実物同様に外側に折り曲げたなら、石垣を東西方向に最低でもあと3pくらいは広げる必要があります。
考証不足という訳ではないように思います。天守は戦前の実測図に基づいて設計されたと思われますし、多聞櫓の資料を探すのは当時でも容易だった筈だからです。

その後に続く相原、童友社系のキットも、フジミを参考にした可能性はあると思いますが、限られた面積の中で雰囲気を出すために同様の案に落ち着いたのではないでしょうか。

ちなみに、名古屋城のプラモとしては最後に発売されたフジミ名城シリーズは、セルフカバーでは芸がないと思ったのか、それとも他社とカブるのを避けたのか、多聞櫓は付属しません。
そのかわり本丸の面積を圧縮し、隅櫓を再現していますので、土台さえ拡張すれば現状を再現できる余地を残しています。