夢殿 百五十分一雛形 作事伝書
■作事心得 作る前にお読み下さい
●使用上の注意
・エッチングパーツを切り離すときは、デザインナイフの新しい刃を使い、平らな硬い台の上で作業して下さい。
・細かいパーツが多いので、特に手すりパーツの焼きなましは避けて下さい。
●組立のポイント
・瞬間接着剤を用いる方が多いですが、点付けでなく接着面を確保できる場合、ゴム系のような時間をかせげる接着剤も意外と便利です。
伸ばしランナーの先でごく少量をすくって接着面に伸ばせばイイ感じに接着できます。
また、ゴム系で仮止めし、瞬着で固定するという方法もあります。状況に応じて使い分けて下さい。
・ゴム系接着剤は緑キャップ(流し込みタイプ)のタミヤセメントに溶けます。ゴム系接着剤を筆で薄く塗ることができ、糸も引かないので便利です。愛用するなら接着剤の空き瓶に作っておけば、いつでも使えます。
これはエッチングをプラスチックパーツに仮止めする際、特に効果を発揮します。プラスチックに塗布すれば溶剤は速やかに吸収され、高濃度のゴム系接着剤が残ります。
エッチングの位置決めができたら、あとは瞬着を流すだけです。
■宝傘の組み立て

あらかじめプラスチックパーツ21、22、23を屋根に取り付けておくとよいでしょう。メッキは落とした方がよい。

エッチングパーツ5、6を筋彫りにそって折り曲げ、八角形の角を合わせて接着します。
完成した宝傘をプラスチックパーツ23の上に取り付けます。八角形が屋根の形に揃うよう位置決めします。
※プラスチックパーツ24は使用しません。
■光芒の組み立て

プラスチックパーツ25から光芒を削り取って宝珠だけ残します。26を取り付ける穴はランナー等で塞ぎます。
加工したプラスチックパーツ25にエッチングパーツ3をセンター合わせで取り付けます。
エッチングパーツ2、4をエッチングパーツ3に直角になるよう取り付けます。
完成した宝珠を宝傘の穴に取り付けます。光芒と建物との位置関係については後述します。
※プラスチックパーツ26は使用しません。
●光芒と建物との位置関係
結論から言うと、よく分かりません(無責任)。それというのも、次のような事情があるからです。

まず、これがオフィシャルな説明で、修理報告図面から各種レプリカ、フジミの組説に至るまで、このようになっています。

一方、キットの箱写真は実物を南西方向から眺めた構図ですが、図にするとこんな感じです。

これは2017年7月に撮影した実物です。軒下に鰐口が写っているので、南からまっすぐに撮影したことが分かります。やはり図面とは異なる角度がついているのがお分かり頂けるでしょうか。

また、このように光芒を基準に眺めた場合、屋根のいかなる棟や瓦の線にも一致しません。宝傘の装飾からも微妙にずれています。

このように現地で見たままを図示すると、こうなっているとしか考えられません。
不勉強で申し訳ありませんが、これらの不整合が生じる理由は分かりません。何らかの修理工事で修正されたのか、それとも風が吹くと廻るのか。んなアホな。
というわけで、いっそのこと模型の方も固定せず動くようにしておけば、正しい結論が判明したとき、そちらに合わせることができます(無責任)。
■鬼瓦の取り付け

一の鬼(エッチングパーツ8)は外側に、エッチングパーツ1(二の鬼)は内側に取り付けます。
※一の鬼(エッチングパーツ8)はひとつ予備です。二の鬼(エッチングパーツ1)には予備はありません。

キットの鬼瓦は地面と垂直ですが、棟と垂直に削り込めば、より実物に近づきます。更にこだわる方は1mmプラ棒を長さ約1mmに切って鳥衾を延長して下さい。
■風鈴の舌の取り付け

プラスチックパーツ27の底に0.5mmの穴を開け、エッチングパーツ7を取り付けます。
■鰐口の取り付け

鰐口(エッチングパーツ9)は南側だけにあります。写真を参考に取り付けて下さい。そのままでは薄いので裏に0.3mmプラ板を貼り付けるとよい。
※救世観音像は南面しており、建物としても南が正面となります。
■基壇の筋彫り

キットの基壇はツルペタですが実際には石の継ぎ目があるので筋彫りをするとよいです。
こちらのPDFを原寸で印刷すれば筋彫りの型紙になります。図中の青い線をモールドして下さい。

また、地面は西面のみ石畳となっています。